せっかく決めた「老人ホーム」を退去…「入居一時金」の返還に注意が必要
老人ホームの入居の際に決めておきたいのは、預貯金口座や保有資産、施設で使う現金の管理といったお金まわりのこと。たとえば認知症を発症してしまった場合。
●口座が凍結してしまい、誰もお金が引き出せなくなった
●引落し口座からいつの間にかお金がなくなっていた……という事態がおき、利用料の滞納が続いてしまった
●財布をどこにやったか分からなくなり、「お前が取ったんだろう」と他人のせいにして入居者同士のトラブルに発展した
老人ホームではよくあることです。総務省が行った調査によると、入居者の現金管理をしてくれる施設は全体の47.6%。さらに入居者の財産管理サービスを実施している施設は15.8%。また引落し口座については、よく施設に通うことのできる家族に資産管理含めてしてもらうケースが多いようです。
老人ホームで起きがちな、お金絡みのトラブルを避けるためにも、入居前に家族同士でしっかり取り決めておくことが肝心です。
親子でのしっかりと見極め、お金のまわりの管理も万全。しかし、入居しないと分からないことも色々。
ーー食事が口に合わない
ーー入居者との相性が良くない
ーー期待していたサービスが受けられない
些細なことでも日常となれば我慢するのがしんどくなります。やむを得ず退去を決断、というのも珍しいことではありません。そうなった場合に知っておきたいのが、退去する際のお金まわりのことです。
まず入居一時金。これは家賃の前払いのようなものなので、通常「償却期間」が定められています。たとえば「一時金500万円、償却期間5年」だとすると、5年で前払い部分を使い切り、それ以降に退去となった場合は1円も返金なしというものになります。
そこで入居半年で退去となった場合、「450万円、戻ってくるだろう」と考えるかもしれませんが、さらに考慮したいのが「初期償却率」。これは「入会金」のようなもので、基本的に退去時には戻ってこないお金になります。もし「初期償却率20%」だとしたら、一時金がまるまる戻ってきても400万円。半年での退去であれば40万円を償却したことになり、戻ってくるのは360万円となります。