終の棲家として選ぶ「老人ホーム」であっても、普通の賃貸住宅と同じ。「入居したらちょっと違った……」ということはよくあります。そんな違和感が積もり積もって退去、ということも珍しくはありません。ただ知っておきたいのが、老人ホーム、退去に際しかかる費用です。みていきましょう。
〈80代母〉せっかく決めた「老人ホーム」6ヵ月で退去を巡り…〈50代娘〉思わず目を疑う「老人ホームの請求額」 (※写真はイメージです/PIXTA)

老人ホーム、退去時に請求される「思いもよらぬお金」

ーー500万円の一時金が360万円……仕方がないか

 

預貯金口座や保有資産の管理を任されている娘。しかし「なに、これ⁉」と、退去した老人ホームから、想像してなかった請求がある場合も。

 

それは原状回復費用。老人ホームも賃貸物件と同じように退去時に請求されるケースがあります。これは通常の賃貸物件と同じ。老人ホームの原状回復費用については、厚生労働省『有料老人ホームの設置運営標準指導指針』で、国土交通省『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)』を参照にすること、とあります。

 

細かなことは割愛しますが、賃貸物件では経年による劣化については原状回復費用は発生せず、それ以外、たとえば「引越作業で生じたひっかきキズ」「落書き等の故意による毀損」「タバコ等のヤニ・臭い」「壁等のくぎ穴、ネジ穴(重量物をかけるためにあけたもので、下地ボードの張替が必要な程度のもの)」「日常の不適切な手入れもしくは用法違反による設備の毀損」……このようなものは、入居者が負担すべき原状回復費用として挙げられています。これは老人ホームにおいても同様で、別途請求されるものと考えておいたほうがいいでしょう。

 

ーーお母さん、部屋の使い方が荒いのよ

 

少額であっても、地味にショックを受ける……賃貸住宅に住んだことのある人であれば、多くの人が経験したことかもしれません。同じようなことが「老人ホームの退去」でも起こりうることは、事前に知っておいたほうがいいでしょう。