(写真はイメージです/PIXTA)

事業の規模を問わず、法人や個人事業主、副業を行っている人を対象に実施される「税務調査」。もちろん、不動産オーナーも調査の対象になります。本記事では税理士事務所エールパートナーの木戸真智子税理士が、突然の税務調査にも慌てずに対応できるよう、実際の税務調査の流れや、不動産オーナーが日ごろからチェックしておくべきポイントについて解説します。

税務署は不動産投資家のどこをみているのか

以上が税務調査の基本的な流れですが、不動産投資家がチェックされるポイントとして考えられる代表的なものは、経費の内容や売却価格・地代の客観性、管理費などのお金の流れに問題がないかという点です。

 

不動産投資をしていると、法人成りや、資産管理会社を設立していることも多く、個人と法人間で不動産の売却や賃料や管理費のやり取りがあるケースもあります。このあたりに恣意性がないかどうかも大きなポイントになります。

 

不動産の売却金額が妥当なものであったかどうかも、売却の際にはしっかり確認して資料を残しておきましょう。一例として、査定資料を残し、過去の判例と照らし合わせて妥当な金額で見積もるなどの方法が挙げられます。

 

賃料や管理費も同様です。地代の場合には無償返還の届出を税務署に提出していることもありますから、提出の有無も整理しておきましょう。地代や管理費の金額についても相場をしっかり把握して、定期的に見直しをしておく必要があります。

 

また、契約書は揃っているでしょうか。契約書は期間があるため、更新が行われないままになっていないかも忘れずチェックしておくべきポイントです。

 

多くの人が気になるポイントは経費ではないかと思います。これは経費になるのかどうかがわからないということも多くあるはずです。不動産投資に関係した経費ということになるので、「どのように関連しているか」ということを考えてみるといいでしょう。

 

不動産投資家からよく質問されるのが、交際費や大家の会での食事代や会費、セミナー代、書籍代、視察に行った際の旅費などについて。これらは不動産投資業に関係があるのであれば、もちろん経費にできます。

 

税務調査に備え、上のような経費が不動産投資業とどのように関係しているのかを説明できるよう、メモや資料の類は残しておくようにしましょう。

 

たとえば、視察旅行の旅費であれば、視察した物件の資料やそのときに対応してくれた不動産会社の担当者の名刺などを保管しておくことなどが挙げられます。日当がある場合には、しっかり旅費規程や精算書も整理しておきましょう。

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※本記事は、「不動産業界から『あなた』を守ります」をコンセプトに株式会社LandSitzが運営する『不動産投資の裏側を知る教科書』のコラムより、一部編集のうえ転載したものです。