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たとえ家賃収入が得られなかったとしても、管理費をはじめとする諸経費が必ず手元から出ていく賃貸不動産のオーナーにとって、最大の懸案事項と言えるのが「空室リスク」です。賃貸物件である以上、入居者の入れ替わりは必ず発生し、したがってすべてのオーナーが「空室リスク」を負っている訳ですが、これを長期化しないためにはどんな対策が考えられるのでしょうか。詳しくみていきましょう。

「空室リスク」とは? 空室が長期化した場合のダメージは想像以上に大きい!?

「空室リスク」とは、所有している賃貸アパートや賃貸マンションにおいて退去者が発生し、新たな入居者がみつかるまでの期間、当初に見込んでいたよりも収益性が低下してしまうリスクを指しています。

 

賃貸経営において退去者が発生することは避けられませんが、空室の状態が長引くと資金計画に大きな狂いが生じます。

 

空室が発生した場合のダメージについて、3,500万円の中古賃貸アパート(全6室・1室当りの家賃は月額5万円)を購入し、そのうちの1室で空室が発生した場合でシミュレーションを行ってみましょう。物件の購入にあたっては不動産投資ローンを活用し、月々の返済額は10万円だったと仮定します。

 

満室状態なら月額の合計で30万円の家賃が得られ、ローンの返済を差し引いても20万円の収入があります。これに対して空室発生後の家賃収入は25万円となり、手取りは15万円に減少することになります。

 

もし空室状態が1年間続いたとすると、収支はどうなるでしょうか。満室なら年間360万円の家賃収入で手取りが240万円、単純計算では利回り6.8%ほどですが、1室が1年間にわたって空室状態となった場合、家賃収入の手取りは180万円になります。

 

単純計算した利回りは約5.1%にまで低下します。加えて、上記は管理費や修繕費、税金などの諸経費を考慮していませんから、実質的な利回りはさらに低くなります。

 

では、空室状態が長期化する原因としては、どういったことが考えられるのでしょうか?

 

まず、根本的で致命的なものとしては、そもそも安定した賃貸需要が見込まれない地域に位置していたり、立地に難がある物件であったりすることです。そうなると、物件が選ばれる可能性はおのずと低くなります。

 

また、賃貸需要が春の入進学・異動シーズンに集中している地域でも、空室が長期化しがちです。地方都市などでよくみられる現象で、春以外の時期に空室が発生すると、翌年の需要集中期まで空室のままになるケースが珍しくありません。

 

一方、安定的な賃貸需要が見込まれる地域であっても、物件が供給過剰状態の場合も要注意です。間取りや収納スペース、設備、築年数などの条件面で競合物件よりも見劣りしていると、次の入居者がみつかりにくくなる恐れがあるのです。

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※本記事は、「不動産業界から『あなた』を守ります」をコンセプトに株式会社LandSitzが運営する『不動産投資の裏側を知る教科書』のコラムより、一部編集のうえ転載したものです。