日本は世界でも有数の長寿国。できれば幸せな老後を過ごし、「良い人生だった」と締めくくりたいもの。しかし、そんな最期を迎えることは、日本の高齢者にとってかなりハードルの高いことのようです。みていきましょう。
年金月14万円…「良い人生だったよ。」と終われない、日本の高齢者の厳しい現実 (※写真はイメージです/PIXTA)

生きがいを感じるにも「お金」が必要だが、そんな余裕は日本の高齢者にはない

ほかに生きがいを感じるシーンとして、「おいしい食事」「趣味」、「旅行」あたりは、お金があれば実現できそうです。

 

厚生労働省『令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、厚生年金保険(第1号)受給者の平均受給額は、併給の老齢基礎年金と合わせて老齢厚生年金で月14万5,665円。国民年金受給者の平均年金受給額は月5万6,479円です。

 

一方、総務省『家計調査』によると、1人の高齢者の平均支出額は月14万円程度。また世帯主が65歳以上の世帯における貯蓄金額の平均値は2,414万円、中央値は1,677万円です。

 

仮に年金月10万円、貯蓄額は中央値として30年の老後を生き抜くとすれば、毎月6,000円程度の余裕があることになります。

 

このお金で、おいしいものを食べたり、趣味に没頭したり、旅行に行ったり……頻繁には難しそう。また不測の事態に対応するためにも、月6,000円程度の余裕はとっておきたいと考えるのが自然なことかもしれません。あくまでも平均値や中央値を用いたものですが、日常生活にプラスαの愉しみを叶えることは、日本の高齢者にとって、結構なハードル。さらに今後は年金減額が既定路線ですから、ますます「生きがい」を感じるシーンは減っていきそうです。

 

それでいて、日本人の平均寿命は、男性で81.05年、女性で87.09年。世界でも長寿国です。長い老後のなかで生きがいを見いだせず、「良い人生だったよ」と終わることなど、到底ムリ……それが多くの高齢者に待ち受ける、ちょっと先の未来かもしれません。