中小企業と大企業…ピーク時には年収差300万円超
安定した給与や充実の福利厚生が魅力の大企業か、早くからコアメンバーとなり大きな裁量を持って仕事ができる中小企業か……就職先としてどんな企業を選ぶのかは、40年先、50年先の生活にも影響を及ぼす、大きな分かれ道となります。
日本の会社の99%は中小企業ですが、就職先として人気なのは大企業。やはり安定性を重視して、就職活動を行う学生が多いようです。一方、チャレンジングな環境での自己成長を求めて中小企業を、とくに社歴の浅いベンチャー企業を「あえて選ぶ」学生も少なくないようです。
東京商工会議所が行った『2019年度中堅・中小企業の新入社員の意識調査』によれば、中小企業を選んだ理由でもっとも多かったのが「仕事の内容がおもしろそう」(42.6%)。2番目以降には「職場の雰囲気が良かった」(39.8%)、「自分の能力・個性が活かせる」(35.5%)と続きました。また、4番目には「待遇(給与・福利厚生等)が良い」(25.3%)がランクイン。中小といえども、待遇の良い企業が少なくないことがうかがえます。
とはいえ、あくまで平均値をみる限りは、大企業と中小企業の間には明確な給与差があるというのが事実。統計をみていきましょう。
厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』で中小企業(従業員10~99人)勤務の大卒・男性サラリーマン(正社員)の平均給与をみてみると、大学を卒業して間もない20代前半では月収22万7,600円、年収は318万5,400円。一方で、従業員1,000人以上の大企業勤務のサラリーマンは月収が24万1,400円、年収が369万9,800円。すでに年収に50万円ほどの差があります。ただ、この時点ではまだ「格差」を実感するほどではないかもしれません。
しかし、大学を卒業して10年。30代になった中小企業勤務のサラリーマンの給与は、月収29万7,200円、年収で459万2,000円。入社時からは年収が150万円近く上昇していますが、同じ頃、大企業勤務のサラリーマンは月収35万600円、年収は630万5,000円。入社間もなくの頃は50万円程度だった差は、10年間で170万円強に。「年間賞与その他特別給与額」の項目をみると、中小企業が73万2,800円であるのに対し、大企業では138万1,400円と、2倍近い差が付いていることがわかります。
さらに10年後、40代になると中小企業サラリーマンの月収は37万3,900円、年収で571万9,000円。30代前半から年収100万円増で順調に昇給しているようですが、大企業サラリーマンの月収は46万2,900円、年収は809万1,600円。年収差は実に237万2,600円。その後、給与水準がピークを迎える50代になると、中小企業では年収651万6,000円(50代後半)、大企業では年収988万700円(50代前半)と年収の差は300万円以上に拡大します。