日本は世界でも有数の長寿国。できれば幸せな老後を過ごし、「良い人生だった」と締めくくりたいもの。しかし、そんな最期を迎えることは、日本の高齢者にとってかなりハードルの高いことのようです。みていきましょう。
年金月14万円…「良い人生だったよ。」と終われない、日本の高齢者の厳しい現実 (※写真はイメージです/PIXTA)

「生きがいを感じる瞬間はどんな時ですか?」日本の高齢者の解答

一度しかない人生。できることなら、ひとつの心残りもなく大往生……これが理想形ではありますが、過去を振り返れば、ひとつやふたつ、「あのとき、こうしていれば」などと、後悔していることは誰にでもあるもの。ひとつの心残りもない人生、というのはどうも難しいことのようです。

 

しかしながら、せめて「良い人生だったよ」なんて最期の言葉を残せるような生き方をしたいもの。そのためには、何をすればいいのでしょうか。「終わりよければすべて良し」といわれるように、満足のいく老後を過ごすことがポイントになりそうです。さて、満足のいく老後とは……高齢者に聞くのが早そうです。

 

日本の高齢者に「生きがい」について尋ねている、内閣府『令和2年度 第9回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査』。「生きがいを感じている時はどんな時か」を聞いたところ、最も多かったのが「子供や孫など家族との団らんの時」で55.3%。「おいしいものを食べている時」53.8%、「テレビを見たりラジオを聞いている時」48.5%、「友人や知人と食事、雑談している時」45.5%、「趣味に熱中している時」45.3%と続きました。

 

【日本の高齢者に聞いた「生きがいを感じる時」】

1位「子供や孫など家族との団らんの時」55.3%

2位「おいしいものを食べている時」53.8%

3位「テレビを見たりラジオを聞いている時」48.5%

4位「友人や知人と食事、雑談している時」45.5%

5位「趣味に熱中している時」45.3%

6位「旅行に行っている時」34.7%

7位「夫婦団らんの時」32.0%

8位「他人から感謝された時」28.2%

9位「収入があった時」22.8%

10位「仕事にうちこんでいる時」22.0%

 

出所:内閣府『令和2年度 第9回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査』より

 

家族がいて、友人もいて、おいしいものが食べられて、好きなテレビやラジオを愉しむことができて、没頭できる趣味もあって……そんな「欲張りな老後」を過ごすことができれば、さまざまなシーンで生きがいを感じることができ、満足度もアップ。最期に「いい人生だった」と言い残すことができるでしょう。

 

ただ今後は高齢者が「家族団らん」で生きがいを感じることは減っていきそうな気配。2020年国勢調査における男女の生涯未婚率は男性で28.3%、女性で17.8%。65歳以上人口を男性1,500万人、女性2,000万人とすると、男性では400万人強、女性では350万人強が、そもそも「子どもや孫のいる家族団らん」を叶えることが難しい状況にあります。今後、生涯未婚率はさらに上昇していくといわれていますので、「家族団らんが生きがい」という人は減っていくでしょう。