物流の2024年問題の解決に向けて、再配達回避にポイントを付与する政府案が話題を集めています。その渦中にいる宅配ドライバーの仕事は体力的にも厳しく、それでいて低収入という状況下にあります。みていきましょう。
男性会社員「平均月収35万円」だが…40代の宅配ドライバー、悲惨な給与額に「もうムリ」 (※写真はイメージです/PIXTA)

朝から晩まで配達しても…給与は平均的なサラリーマン以下という悲惨

厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、サラリーマン(正社員・学歴計、平均年齢43.5歳)の平均給与は、月収で35.3万円、年収で579.8万円。一方、公益財団法人全国トラック協会『2022年度版トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態』によると、男性一般運転手(平均年齢49.2歳)の平均月収は34.3万円、年収は448.8万円。また男性特積運転手(平均年齢47.2歳)の平均月収は34.0万円、年収は474.0万円です。

 

*一般は貸切バスに相当し、特定の荷主企業の貨物を積んで、荷主の希望する時間に合わせて目的地まで運ぶ。特積は乗合バスに相当し、定時運行のトラックに貨物を載せ、設定されている到着時間に目的地近くのターミナルに運ぶ

 

宅配ドライバーの給与は、月収では一般のサラリーマンとそこまで大きな差はありませんが、賞与も含めた年収で比較すると2割程度少ない給与額となります。

 

昨今、ネット通販の急拡大により物流量が増加。「配達が終わらない!」という悲鳴があちらこちらから聞こえるようになりました。それでいて給与は一般のサラリーマン以下……なんとも悲惨な状況です。今後は仕事は楽になるけど残業代をもらえなくなり、給与減は必至……「こんな給与でやっていられない、もうムリ!」とドライバー離れが加速する気配です。

 

「物流革新緊急パッケージ」では多重下請け構造の是正など、ドライバーの賃上げについても言及がされています。しかしそれだけでドライバーの賃金アップを実現するのは難しいと専門家。なによりも、ドライバーの低収入の原因として「送料無料」に慣れきってしまった私たち、利用者にもあるともいわれています。そのため、今後、送料の値上げは避けられないともいわれています。私たちの家計にも影響がありそうな2024年問題。これからも注視していく必要がありそうです。