大企業と中小企業…ピーク時には「300万円超」の年収格差
さらに厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』で中小企業と大企業それぞれの給与事情についてみていきましょう。
まず中小企業に就職を決めた場合として、従業員10~99人企業についてみていきます。
大卒男性・正社員の場合、月収(所定内給与額)は平均35万1,500円、推定年収は531万2,800円(平均年齢43.6歳、平均勤続年数11.0年)。給与の推移をみていくと、20代前半では22万7,600円だったのが、その10年後には29万7,200円、さらに10年後には37万3,900円と、20年で1.6倍ほどに。年収は50代後半で651万6,000円でピークに達します。
一方、従業員1,000人以上企業の場合、月収は平均44万3,800円、推定年収は769万6,800円(平均年齢41.9歳、平均勤続年数15.5年)。給与の推移をみると、20代前半では24万1,400円だったのが、10年後の30代前半で35万600円、さらに40代前半になると46万2,900円と、20年で約2倍に。給与水準がピークを迎える50代前半では、月収57万1,900円、ボーナス等を含めた推定年収では988万700円と、「大台」まであと一歩というところまで達します。
大学を卒業後、かたや大企業、かたや中小企業に就職した2人。新卒入社後数年は、お互いの給与差は2~3万円程度ですが、30代前半では月5~6万円、20年後で40代になると月10万円ほどの差がつくことになります。さらに、ボーナスの額にも大きな差が現れるため、互いに給与がもっとも高くなる50代では、年収差は300万円超に上ることも。
さらにその格差は、現役時代だけに留まりません。
一般社団法人日本経済団体連合会の調査によると、大企業勤務のサラリーマンが受け取る退職金は、大学卒・総合職・60歳定年の場合で平均2,440.1万円。高卒・総合職・60歳定年の場合は平均2,120.9万円ほどだといいます。一方、中小企業の場合は大卒の定年退職で1,091.8万円(東京都産業労働局『中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)』より)。
中小企業の場合、受け取れる退職金額は大企業の約半分というのが相場です。
大学卒業から約40年後。お互いに定年退職を迎えた2人が再会して「久々に飲みに行くか」となったとき、お酒が進んでお互いのお財布事情について話し合うことになるかもしれません。そのとき、大企業に新卒入社した同級生の給与・退職金額を知れば、思わず嫉妬してしまうことでしょう。「お金より自己成長のほうが大切だよ」とトガっていた学生時代の自分を呪うか、「大切な仲間とかけがえのない時間を過ごせた、良い会社員人生だった」と振り返れるのか……願わくば、後者をめざしたいものです。