資産形成のラストスパートを図るべき時期に「貯蓄がありません」
結婚、出産の平均値から考えると、幼稚園の入園を控えた子どもがいるなら年齢は30代後半~40代前半あたりというケースが多いようです。そして、年収1,000万円超の会社員となると、大企業の部長クラス。
厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』で、30代後半のサラリーマンの給与事情をみてみると、非役職者の推定年収は583万円であるのに対し、従業員1,000人以上の企業に勤める「30代後半・部長」は、月収67万6,000円、推定年収では1,071万円。会社でもエース級の働きをしているエリート社員であると思われます。
【年齢別「大企業・部長クラス」の給与】
30~34歳:444,300円/7,140.000円
35~39歳:676,900円/10,715,800円
40~44歳:741,400円/12,003,700円
45~49歳:735,000円/12,332,400円
50~54歳:748,900円/12,674,000円
55~59歳:784,000円/13,267,400円
出所:厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』より算出
※数値左:月収(所定内給与)/右:推定年収
同年代のヒラ社員に年収でダブルスコアをつけるエリート部長。子どもの教育にかける予算は多く、小学校受験に挑戦するという家庭も珍しくないでしょう。さらにバイオリンや英会話など、さまざまな習い事に通わせて教育費はかさみますが、多少生活が苦しくても「すべては子どものため」と、投資を続けていきます。
実は、このような教育熱心な世帯でよくみられるのが、定年前の家計の破綻。
エリート世帯の子どもの教育費は大学受験前に向けて膨張し、家計を圧迫します。本来であれば、現役引退とその後の年金生活を見据えて資産形成のラストスパートを図りたい50代の時期に、貯蓄残高が限りなく「ゼロ」に近づいているというのはよくあるパターンです。
それでも、とくに子どもが目標通りに有名進学校から一流大学へと進んでくれた場合は、教育費への投資に後悔はないと考えるかもしれません。ただ、あまりに重すぎた教育費の負担によって自らの老後を滅ぼしてしまっては本末転倒。いくら周囲に比べて収入が大きかったとしても、身の丈にあった教育プランを策定することが重要です。