土地の評価額を大きく減額できる「小規模宅地等の特例」を活用すれば、相続税を大きく減額できます。そのほか、現金を「建物」に換えることも、相続税対策につながります。本稿では、古尾谷裕昭氏監修の『生前と死後の手続きがきちんとわかる 今さら聞けない 相続・贈与の超基本』(朝日新聞出版)より一部を抜粋し、不動産を活用した相続税対策についてみていきます。

節税のコツ②:不動産は評価額を下げると相続税を減らせる

お金は土地に換えておくと大幅に節税できる

 

現金や預貯金などは、そのまま相続するよりも、土地や建物といった不動産に換えておくことで大きく節税ができます。

 

現金を建物に換えると、評価額は建築費の約60%、土地なら時価の約80%まで評価額を下げることができます。賃貸物件であれば評価額はさらに低くなります。前ページで解説した小規模宅地等の特例も条件を満たせば利用できます。ただし不動産の所有には一定のリスクも。

 

例えば賃貸物件では、入居者が見つからないとコストがかさんでかえって損をしてしまいます。このように、不動産をうまく運営できるかも考慮する必要があります。

 

不動産のほうが評価額が低い

相続税の申告では、相続財産の評価額を算出する必要があります。その際、現金や預貯金などはそのままの額で評価されますが、土地や建物などの不動産は時価よりも低く算出され、約60〜80%まで減額できることもあります。

 

賃貸不動産に換えると評価額は半分以下に

賃貸物件を建てると、現金で保有していた場合に比べて評価額を大きく低減でき、1億円で建てた賃貸物件は購入価格の30〜50%程度の評価額となることもあります。

 

●1億円で賃貸住宅を建築した場合の評価額

6,000万円[固定資産税評価額]×(1-30%[借家権割合]×100%[賃貸割合])=4,200万円

 

賃貸不動産化にはリスクもある

不動産の活用は相続税の節税として有効ですが、一方で、現金の保有に比べ以下のようなリスクもあることを理解しておきましょう。

 

  • 賃貸経営に失敗する可能性がある
  • 分割しにくいため、後々相続人同士でもめる可能性がある
  • 不動産購入に使いすぎてしまい、相続時に必要な現金が不足する
  • 病気や認知症などにより、被相続人自身が賃貸経営できなくなる
  • 建物の老朽化などにより賃貸経営が困難になり、相続人の負担になる

 

生前と死後の手続きがきちんとわかる 今さら聞けない 相続・贈与の超基本

生前と死後の手続きがきちんとわかる 今さら聞けない 相続・贈与の超基本

古尾谷 裕昭

朝日新聞出版

超基本シリーズ第8弾のテーマは「相続」。相続とは一体何なのか?から、個別の事例まで、"これが知りたかった!"がスッキリわかる。別冊には、「書き込み式エンディングノートドリル」つきで、今の自分や家族の資産や負債をま…

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