生前に贈与する場合でも、ある一定の用途に関しては贈与税の対象外となります。本稿では、古尾谷裕昭氏監修の『生前と死後の手続きがきちんとわかる 今さら聞けない 相続・贈与の超基本』(朝日新聞出版)より一部を抜粋し、「教育資金」「結婚や育児のための資金」の贈与について解説します。

贈与の特例②:結婚や育児のための資金の贈与

若い世代の結婚や育児のために財産を使う

 

贈与税の特例の2つめが、「結婚・子育て資金の一括贈与の特例」です。

 

父母や祖父母が、18歳以上50歳未満の子や孫などに結婚・子育て資金を一括で贈与する場合、1,000万円までが非課税となります。2023年3月31日までの期限がありましたが、税制改正で内容は厳しくなったものの期限が2年延長され、2025年3月31日までになりました。

 

親や祖父母の財産を若者世代に移転することで、安心して結婚や子育てをできるようにするのがこの特例の大きな目的。そのため受贈者の前年の所得金額が1,000万円以下という条件が設けられています。

 

結婚・育児のための贈与は1,000万円まで非課税

父母や祖父母などの直系尊属から、子や孫などの直系卑属に対して結婚や子育ての
ための資金を贈与する場合、最大1,000万円が非課税となります。

 

対象となるもの(合計で1,000万円)

内容

上限

結婚に

関するもの

挙式費用、

衣装代等の婚礼費用、家賃、

敷金等の新居費用、転居費用

300万円

妊娠・出産・育児に

関するもの

不妊治療・妊婦検診に要する費用、

分娩費用等・産後ケアに要する費用、

子の医療費、幼稚園・保育所等の

保育料(ベビーシッター代含む)

1,000万円

 

贈与者の死亡時の残額は相続税の対象に

結婚・子育て資金一括贈与の特例は、受贈者が50歳に至っていなくても、贈与者が亡くなるとその時点で期間が終了となります。口座の残高は相続税の対象となるので注意が必要です。

 

プラスアルファ:契約は原則取り消せない

特例を受けるには、受贈者名義の専用口座を開設後、当該の金融機関を通して「結婚・子育て資金非課税申告書」を受贈者の納税地の税務署に提出します。その後、贈与者からの口座に入金が可能となります。ただし制度の利用を申し込んだ後の解約はできないので注意が必要です。

 

 

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生前と死後の手続きがきちんとわかる 今さら聞けない 相続・贈与の超基本

生前と死後の手続きがきちんとわかる 今さら聞けない 相続・贈与の超基本

古尾谷 裕昭

朝日新聞出版

超基本シリーズ第8弾のテーマは「相続」。相続とは一体何なのか?から、個別の事例まで、"これが知りたかった!"がスッキリわかる。別冊には、「書き込み式エンディングノートドリル」つきで、今の自分や家族の資産や負債をま…

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