毎月6万円の赤字…貯蓄は足りるのか?
平均寿命と平均余命
2023年7月28日、厚生労働省が発表した令和4年簡易生命表によると、令和4年の男性の平均寿命は81.05年、女性の平均寿命は87.09年でした。また70歳の平均余命は男性で15.56年、女性で19.98年となっています。
ご夫婦がB子さんの平均余命である90歳まで生活したとすると
毎月の不足6万円×12か月=72万円
72万円×(90歳―70歳)=1,440万円
現在の貯蓄2,500万円―670万円(入居費用)=1,830万円
1,830万円―1,440万円=390万円
90歳時の残金=390万円
なんとか足りそうですが、これ以上の出費があると生活が心配な領域です。
B子さんの「子どもに心配をかけたくない」が裏目に
老人ホームへ通うことにも慣れたAさんのもとに、娘から「今年の年末年始は久々に孫を連れて帰るよ」と電話がありました。そこで、どうせ帰ってくるなら伝えておこうとB子さんの話をしたところ、「なんで相談してくれなかったの!」と電話口でもわかるほど激怒されました。
Aさんが「黙っていて悪かった。心配させたくなかったから」となだめても、娘の怒りは一向に収まりません。しかも、娘が聞いてくるのは母親の容態ではなく、有料老人ホームにかかった費用や月々の支出、資産状況のことばかりでした。Aさんは「娘は俺たちの遺産にしか興味がないのか……」とひどく傷つき、電話を切ったそうです。
後日、帰省した娘としっかり話したところ、16歳と14歳になる2人の子どもの部活動や塾、その他の習いごとといった教育費に家計が圧迫されており、内心では贈与や相続財産を期待していた、と白状されました。
娘いわく、母B子さんの状態ももちろん心配でしたが、正直「当てが外れた」というショックが大きかったため、ついきつい口調でAさんに怒鳴ってしまったそうです。涙ながらに謝る娘をみたAさんは、思わず「少し前まであんなに幸せだったのに。なんでこんなことに……」と、力なくつぶやきました。