住宅ローンの理想的な返済比率は20~25%程度、また金融機関がローン審査の目安とする返済比率は30~40%程度といわれています。しかし、たとえ「理想的な返済比率」の範囲内であっても審査にとおらない場合があると、FP Office株式会社の森幸江FPはいいます。具体的な事例から「住宅ローン審査で金融機関が重視するポイント」をみていきましょう。
年収950万円だが…銀行員「残念ですが、貸せません」31歳エリート商社マン、4,500万円の住宅ローン〈謝絶〉のワケ【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

夢のマイホーム購入へ

31歳で年収950万円のエリート会社員、住宅ローン申し込み

Aさんは大学卒業後、大手電機メーカーに勤務し28歳の時に結婚。翌年第一子が産まれました。その後見事にキャリアアップを果たし、前職よりも給与の高い専門商社へ転職。年収は950万円になりました。

 

現在、妻は第二子を妊娠中。今回の出産に合わせて会社を退職し、子育てに専念しようと専業主婦になりました。

 

家族が増えたことに加えて、専業主婦の妻は1日の大半を家で過ごすこともあり、Aさんは住宅について考え始めました。現在は、都内の賃貸物件に住んでいて間取りは2DK。4人家族では狭いため、戸建てを検討することにしたそうです。

 

都心から少し離れたベッドタウンで、最寄り駅からは徒歩12分。Aさんの子どもと同じ年ごろの子どもたちも多いその土地に、気に入った建売物件を見つけることができました。

 

Aさんの年収950万円、物件は新築建売戸建4,500万円ということで、収入と不動産価格から考えると住宅ローンの審査は問題ないだろうと、不動産会社からすすめられたなかで金利が一番低い銀行にて住宅ローンの仮審査を申し込みました。

 

すると、結果はまさかの「謝絶」。

 

なにかの間違いでは……通知を見たAさんは驚き、慌てて銀行に連絡をするも「総合的な判断によるものなので個別の回答はできません」と、理由を教えてもらうことができませんでした。

 

Aさんは仕方なく自分で理由を考えたものの、特に思い当たる節がなかったそうです。そこでAさんはまず、金融機関に働いている知人に相談に乗ってもうことにしました。

 

住宅ローンの審査結果

住宅ローンの審査には、主に下記3とおりの回答があります。

 

①承認(満額回答)
②条件付き承認(減額回答)
③謝絶(全額不承認)

 

Aさんは②にも該当していません。つまり、年収や勤務先ではない、ほかに明確な理由があったと考えられます。そこで知人と一緒にAさん自身の状況を整理して考えた結果、Aさんは3つのことに気がつきました。