「いまが人生を変えるチャンスだよ」…脅されて50万円の契約を締結
都内のIT企業に勤務する24歳の吉永啓さん(仮名)は、高校を卒業して以来、何年も連絡を取っていなかった同級生、高山芳樹さん(仮名)から「久しぶりに会わない? 来週はどう?」とSNSのダイレクトメッセージを受け取りました。その日は予定も空いていたことから、「OK」と返事をし、駅前の居酒屋で会うことにしました。
会食の当日、居酒屋には高山さんのほかに1人、見知らぬ男性が現れました。再会の挨拶も早々に、高山さんは「最近、この先輩と一緒に投資やってるんだよね。お前もやらない? 結構儲かるよ」と、話を振ってきます。同席した、上下黒のジャージ、胸元には金色のネックレスといういで立ちの男性は、「ケンといいます。どうも」とだけ話し、後は黙っていました。
高山さんの説明によると、最初に商品代金と販売代理店としての登録料を合わせて50万円を支払う必要があるものの、新規会員を1人獲得するごとに3~5万円のボーナスが得られるとのこと。自分が勧誘した会員がさらに新規会員を獲得すれば、それに対してもまた紹介料が入るといいます。高山さんは最初に払った登録料50万円を新規会員を獲得して得たボーナスで取り返し、いまは毎月、会社員時代の給与を上回る80万~100万円もの収益を得ているようです。
ケンさんがようやく口を開き、「このままサラリーマン続けるのはキツイでしょ。サラリーマンの生涯年収、僕なら4~5年で稼げるかな。始めたほうがいいと思うよ」と圧をかけてきました。
「これは怪しい」と、異変を察知した吉永さん。「投資とかはちょっと…」と伝えて退席しようとしますが、ケンさんが「わざわざオレが出てきてるんだよ。そんな失礼なことないでしょ!」と威迫し、投資商材の購入を迫ります。仲間だと思っていた高山さんは、困り果てた様子の吉永さんを助けてくれるどころか、「いまが人生変えるチャンスだよ」などと話し、個室の出口をふさいでいます。
怖くなった吉永さんは結局、2人の圧に押し切られる形で、代理店登録料と商品購入代金の合計50万円を支払う契約を結んでしまったのでした。
震える手で契約書にサインをした途端、2人の態度は軟化。ケンさんは、「脅かして悪かったね。一緒に頑張っていこうよ」と、乾杯を要求しました。吉永さんは、その後口にしたお酒や料理の味をまったく覚えていないといいます。