月収50万円・都内在住54歳おひとりさま女性の「貯金額500万円」…これって大丈夫?【FPが解説】

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月収50万円・都内在住54歳おひとりさま女性の「貯金額500万円」…これって大丈夫?【FPが解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

54歳時点での貯金額が500万円という独身女性のAさん。老後に向けたマネープランとして問題はないのでしょうか? 本記事では、1級ファイナンシャル・プランニング技能士の川淵ゆかり氏がAさんの事例とともに、50代独身女性の懐事情や老後に向けた資産形成方法について、解説します。

「インフレ」は老後の大敵

(※画像はイメージです/PIXTA)
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さまざまなモノやサービスの値上げが続いていますが、今後もインフレはしばらく続くことが予想されています。

 

実は、高齢者にとって最大の敵がこの「インフレ」です。いま、たとえば毎月17万円で生活できているとしても、将来同じ金額で生活できる保障はありません。日本銀行は「物価2%目標」を掲げていますが、もし毎年2%ずつ生活費が増えていくと、同じ生活を続けるためにかかる金額は以下のようになります。

 

・現在……毎月17万円
・10年後……毎月約20万7,000円
・20年後……毎月約25万3,000円
・30年後……毎月約30万8,000円
・40年後……毎月約37万5,000円
・50年後……毎月約45万8,000円

 

一生涯働けるわけでもなく、預貯金の金利は一向に上がらず、年金額も増えたとしても物価上昇分には追いつきません。つまり、「せっかく作った老後資金が減るスピードが上がっている」ということです。

 

このままでは、高齢者の貧困問題は深刻化する一方です。老後資金に“長生き”してもらうためには、「運用しながら少しずつ取り崩す」といった手段も考えていく必要があります。

 

たとえば、老後資金1,000万円を老後30年間かけて取り崩す場合を考えてみましょう。運用せずに使う場合には毎年33万円(1ヵ月あたり約2万8,000円)しか使えませんが、運用しながら取り崩す場合、利息に応じて使える金額が以下のように増やせます。

 

・運用せずに取り崩す……毎年約33万円(毎月約2万8,000円)
・年1%で運用しながら取り崩す……毎年約39万円(毎月約3万2,500円)
・年2%で運用しながら取り崩す……毎年約45万円(毎月約37,500円)
・年3%で運用しながら取り崩す……毎年約51万円(毎月約42,500円)

 

自分が働けなくなっても「お金に働いてもらう」ということになりますが、この場合、現役時代から資産運用に慣れておく必要があるでしょう。

法事でいとこと再会…おひとりさま同士「まさか」の展開に

(※画像はイメージです/PIXTA)
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さて、その後のAさんですが、ある日Aさんは親戚の法事でいとこのBさん(57歳)と数年ぶりに再会しました。BさんはAさんにとって、子どものころからお姉さんのように慕っていた存在です。Bさんは数年前に離婚しており(子どもはいません)、現在は関東にある実家に1人で暮らしています。家庭菜園の畑仕事やパート勤務でのんびりと生活しているようです。

 

しかし、BさんもAさん同様、おひとりさまならではの悩みがあるようで、「両親も他界しちゃって……古くてやたら広い家に1人で住んでいるとさ、やっぱり寂しいのよね」とこぼします。その後、2人はSNSで連絡を取り合い、お互いの家を頻繁に訪れるようになりました。そして、生活リズムが合うことがわかると、AさんがBさんの家に泊まるように。

 

最終的には、Bさんの家で2人暮らしをすることになりました。Aさんの通勤時間が伸びたものの、Bさんの家は広く部屋数も多いため、「付かず離れず」でプライバシーも保て、快適に過ごせているそうです。

 

「住まいの不安もなくなりましたし、いままで外食が多かった食生活も、Bさんのおかげで自炊するようになりました。家賃も食費も大きな節約になって、貯蓄も増やせそうです」

 

もともとオーガニックに興味を持っていたAさんですから、畑仕事もBさんと一緒に始めたようです。野菜の自家栽培も食費の節約になりますね。

 

「会社を辞めたら、Bさんとこの家で古民家のオーガニックレストランでもやろうかと話していたんですが、コロナのときに行きつけのレストランが困っているのを何件か見かけて、私には無理だと思い直しました。年金額にも影響しそうですし、いまはできるだけ長く会社にお勤めするつもりです」

 

でも、とAさんは続けます。

「将来は小さな英会話スクールを開けるように準備を進めているんです。英語の先生になるのも長年の夢でしたから、会社を辞めても食べていけるようにしておこうと思って。時々オーガニックのランチパーティーを開くスクールなんていうのも、おもしろそうでしょ」

Aさんは明るく笑いました。

まとめ…50代おひとりさまが「インフレ時代の老後」を生き抜くために

長らく日本はデフレの時代が続いていましたが、「デフレの時代は終わった」と思われます。これからは、インフレの時代で現預金では資産価値が目減りしていきます。どうやりくりしていくかを考えていくべきです。

 

不安なき老後のためには、可能な限り長く働き、その時代に見合った収入を得ていくことが重要になってきます。60代、70代も健康に働き続ける計画を立てていきましょう。

 

AさんはITは苦手なようでしたが、オーガニックの知識や得意な英会話を強みにこれからの生活を前向きに考えています。自分の強みは何かを考え、これまで培った人脈をたどり老後の働き方を考えるのもひとつの手です。

 

女性が1人で生きていくのは大変ですが、自分の大事な人生ですから、いま一度立ち止まって、将来のことをじっくり考える時間をもちましょう。

 

川淵 ゆかり

川淵 ゆかり事務所代表

 

 

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本記事は、株式会社クレディセゾンが運営する『セゾンのくらし大研究』のコラムより、一部編集のうえ転載したものです。