54歳で「貯金額500万円」…独身女性Aさん
中小専門商社に勤める54歳のAさんは、東京都内の賃貸マンションに1人で暮らしています。結婚はしておらず、いわゆる「おひとりさま」です。両親は健在で、兄は結婚後も両親と同居しています。
Aさんは、学生時代は英語教師を目指していたこともあり、語学力とコミュニケーション能力が高く、明るい人柄の持ち主です。仕事をバリバリやるタイプというよりは、休日を謳歌するタイプ。]
若いころから“ソロ活”を満喫しており、最近は有機野菜を使ったオーガニックカフェやレストラン巡りを趣味としています。おしゃれにもお金をかけ、住まいに関しても気に入った物件を見つけると引っ越しを重ねてきました。
50歳を過ぎてからは老後を意識し、少しずつ資産形成を始めましたが、貯蓄残高は最近やっと500万円になったところです。
「退職金も年金もあるから、老後もなんとか生きていけるわ」と気楽に考えていたAさん。しかし、新型コロナウイルスや物価高など、若いころには予想だにしなかったことが次々と起きてからは、将来の生活に不安を感じるようになりました。Aさんはある日、筆者のFP事務所に相談に訪れました。
Aさんはこのままで大丈夫なのか?
衣・食・住にお金をかけ、“都会の1人暮らし”を満喫してきたAさん。しかし、年齢も50代半ばにさしかかり「老後のこともそろそろ考えないといけないな」と感じるようになったそうです。Aさんが老後に向けて悩んでいるポイントは、以下の2つです。
1.賃貸マンションを更新するかどうか
まずは、「賃貸マンションの更新」です。定年退職後も毎月賃料・更新料を払い、いまのマンションに住み続けられる保証はありませんし、いまさら住まいを購入して住宅ローンを抱え込む気力もありません。以前は「なにかあったら実家に戻ればいい」と考えていましたが、兄家族が実家で両親と同居している今は、戻ってうまくやっていく自信もありません。
2.定年まで在職できるかどうか
もう1つの悩みは、「無事に定年まで在職できるかどうか」です。Aさんの会社でもDXが進み、新たなシステムや業務手順の変更が行われています。Aさんもパソコンの知識に長けた後輩を頼りながら、なんとかついていっている状況です。さらに会社は人件費削減のため、数年前から派遣社員の割合を増やしはじめました。「早期退職とか勧められたらどうしよう。今更ほかの会社勤めは無理だしな」と、Aさんは悩んでいます。
「おひとりさま」の平均貯蓄額は?
さて、50代の単身世帯の方は、平均してどのくらい貯蓄があるのでしょうか。金融広報中央委員会の調査※1によると、
金融資産保有世帯のみ……平均値1,675万円、中央値675万円
金融資産を保有していない世帯(35.7%)を含む場合……平均値1,067万円、中央値130万円
となっています。
Aさんの貯蓄額500万円は、長年正社員でしっかり働いてきたことを考えると、少し足りないようです。
また、総務省の調査※2によると、東京都の女性単身者の1ヵ月の平均支出は17万1,074円となっています。
※1金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和3年)」より
※2総務省「2019年全国家計構造調査(旧全国消費実態調査)」より
主な内訳は次のとおりです。
・食料費……3万9,944円
・住居費……4万6,043円
・水道光熱費……7,752円
・家具・家事用品……2,965円
・被服及び履物……1万1,173円
・保健医療……5,483円
・交通費……8,354円
・通信費……6,447円
・教養娯楽費……2万2,316円
暮らし方によりそれぞれ差が出てくるとは思いますが、上記のデータをみると、Aさんの家計はまだまだ見直す余地がありそうです。家計改善を行えば、貯蓄に回せる余裕もあるはずです。
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