円安ドル高の要因と為替介入実施の条件
以上、2022年9月と10月の為替介入から現在に至る経緯を説明してきました。では、今回も為替介入が行われるのでしょうか。財務省の神田財務官は6日、為替介入の可能性に言及しましたが、財務省の内部で、為替介入を行うか否か、行うならどのタイミングで、いくら投入するか、慎重な検討が続けられているとみられます。
為替介入の効果を最大にするには、円安ドル高がなぜ起きているのかという原因を踏まえたうえで、最も効果が上がるタイミングを選ぶ必要があります。昨今の円安ドル高の大きな要因は以下の2つだと考えられます。
・内外の金利差
・貿易赤字
内外の金利差
まず、内外の金利差です。日本で「超低金利」が続いているのに対し、アメリカでは「利上げ」が相次いでいます。2020年から始まった新型コロナウイルス禍により経済が停滞するなか、多くの国が金融緩和の一環として「利下げ」を行いました。しかし、その後、コロナ禍が収束するにつれ、経済が回復してインフレが発生したので、「インフレ退治」のために「利上げ」を行っているのです。これに対し、日本ではコロナ禍の前から長期にわたって超低金利が継続されています。
それが、金利の低い「円」を売り、金利の高い「ドル」を買うという動きにつながり、円安ドル高を招いています。特に、いわゆる「投機筋」の動きが活発になれば、円安ドル高の傾向に拍車がかかることになります。
貿易赤字
次に、貿易赤字です。輸入が輸出を大きく上回れば、円安につながります。なぜなら、輸入に際しては円を外貨に換金しなければならないからです。財務省の「貿易統計」によると、2022年の貿易赤字は19兆9,659億8,470万4,000円と、過去20年間で最高額に達しています(2番目に大きかったのは2013年の11兆4,683億5,222万1,000円)。
2011年以降、東日本大震災における福島第一原発の事故の影響で、火力発電の燃料(石油・石炭)の輸入量が増えていますが、それに加え、2022年2月から始まったロシアのウクライナ侵攻による世界的な燃料価格の高騰が大きく影響しているとみられます。
政府が為替介入を行うかどうかを決めるにあたっては、こういった円安ドル高の原因を見据えたうえで、どのタイミングで、どの程度の規模での介入を行えば最大の効果が得られるのかという、高度な政策判断が要求されます。
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