60歳で定年を迎えても働き続ける人が7割。働くことが好きな人もいれば、生活のためやむを得く……という人も。なかには、一度現役を引退したのに、再び仕事を始める人も珍しくないといいます。60歳定年後の実情をみていきましょう。
怖い、怖いんです…「65歳で年金17万円」悠々自適のはずの「60歳定年サラリーマン」が恐怖する理由 (※写真はイメージです/PIXTA)

60歳で定年、65歳で年金受給…5年間を埋めるために必要な貯蓄額

定年とは「労働者が一定の年齢に達したことを退職の理由とする制度」のこと。その年齢は60歳以上に設定しなければならないと法律に定められていますが、上限はありません。

 

厚生労働省『令和4年就労条件総合調査』によると、定年制を定めている企業割合は 94.4%。そのうち「一律に定めている」が 96.9%で、「職種別に定めている」が 2.1%。一律定年制を定めている企業のうち、「60歳定年」が72.3%、「65歳定年」が21.1%、「65歳以上」が3.5%となっています。つまり、全体の6~7割の企業が60歳をひとつの区切りとしています。

 

また2013年4月に「高年齢者雇用安定法」が改正され、希望者は原則65歳まで継続して働けるようになりましたが、「65歳までの高年齢者雇用確保措置を実施済み」の企業は99.9%。「60歳を過ぎても働きたい!」という希望は、ほぼ叶う環境が整いました。またさらなる法改正で、70歳までの就業機会の確保が努力義務となりましたが、70歳以上まで働ける制度のある企業は39.1%。特に人手不足感の強い中小企業で環境整備は進んでいるようです(*厚生労働省『令和4年「高年齢者雇用状況等報告」より)』)。

 

高齢化に伴い「健康であればいつまでも働ける」、そんな社会がもうすぐそこ。実際、60歳の定年以降も7割程の人が「定年後も働くこと」を選択しています。

 

しかし20歳から会社員をしてきたのであれば、40年近く頑張ってきたわけですから、「もう、いいかな」とひと区切り入れたいというのが、多くの人の本心かもしれません。ただ60歳で完全引退には大きなハードルが……「年金の支給まで、どうするか問題」です。原則、年金受給は65歳から。その空白をどうしたら埋められるか熟考のうえ「私には無理!」と、定年での引退を断念する人も多いようです。

 

この5年を埋めるために、まずはどれくらいの貯金があればいいのでしょうか。総務省『家計調査 家計収支編』(2022年平均)によると、世帯主が60歳以上の世帯(世帯人員2.44人)の1ヵ月の支出は25.9万円。単純計算、5年で1,554万円あれば、生活費は困らないということになります。そのための貯金が余分にできていたら……、

 

――60歳で悠々自適のセカンドライフじゃ!

 

声高らかに宣言できるでしょう。