賃貸不動産への融資は借りやすい
賃貸不動産に対する融資であれば、融資を受けた分の不動産・資産を購入することになるため、仮に1億円の融資を受けた場合、1億円の不動産・資産が手に入る状態になり、その時点で金融機関の目線ではプラスマイナスゼロです。
さらに不動産・資産という現物だけでなく、家賃収入が加わり、家賃収入をベースに融資の返済ができるように計画が組み立てられます。つまり、個人の収入だけが返済の元ではなく、不動産自体が生み出す家賃収入が返済の資金源となるのです。
万が一、家賃収入がなくなってしまい返済が滞ったとしても、購入者の生活余剰金や自己資金、また融資を受けて買った不動産を売ることで融資を返済できます。
ここで何を伝えたいのかといえば、不動産への融資は他と比べてリスクが低く、金融機関が積極的に取り組んでいきたいものである、ということです。また先述したように、ノルマを達成するためには、不動産融資はほぼ必須でしょう。フリーターに貸すといったように、返ってくるかもわからない100万円の融資を10個するより、1億円の不動産に1つ融資をするほうが遥かにリスクが低いわけです。
TBS、朝日新聞、サッポロビール…本業ではなく「副業の不動産」で儲ける企業
世の中には、本業以外の収入で経営を成立させている企業が多くあります。たとえば、テレビ局や新聞社は不動産からの収入が多くを占めています。
テレビ放送で有名なTBSであれば、2021年はメディアコンテンツ事業の営業利益が109億円で、不動産事業の営業利益は70億円です。不動産の収入は無視できないものとなっています。朝日新聞では、2021年の決算を見ると、メディア部門では120億円の赤字を出しているのに対し、不動産部門では52億円の黒字です。
また、芸能のイメージが強い松竹も2021年の決算を見ると、映像・演劇部門が59億円の赤字に対して、不動産部門では50億円の黒字であり、赤字のほとんどを不動産部門で補っています。
他にも出版社の場合、上場企業はごく少数なので正確な数字はわかりませんが、ベストセラーを出した時期などに不動産を購入しているケースもあります。
こういった話は、メディア関連企業に限った話ではありません。サッポロビールで有名なサッポロホールディングスも、なんと食品飲料部門では約33億円の赤字に対し、不動産部門では約290億円の黒字です。つまり「不動産で事業が存続できている」といっても過言ではありません。
このような一般的に知名度の高い企業の中には、本業ではなく不動産で赤字を補填している会社も多くあるのです。そして当然、そこには融資が発生しています。たとえば、TBSが500億円の不動産を持っていたとしたら、すべて現金で支払っているわけではなく、銀行融資を受けて買っているわけです。
※本記事は『現役&元銀行員が本音で教える! 初心者も経験者も不動産投資をはじめる前に読みたかった 融資の教科書』(ごきげんビジネス出版)一部を抜粋し、幻冬舎ゴールドオンライン編集部が本文を一部改変しております。