融資には、審査が厳しい金融機関と緩い金融機関が存在します。では、融資を受けやすい金融機関はどのように見極めればいいのでしょうか? 本記事では、融資の教科書製作委員会の著書『現役&元銀行員が本音で教える! 初心者も経験者も不動産投資をはじめる前に読みたかった 融資の教科書』(ごきげんビジネス出版)より、不動産投資ローンを組む際の金融機関の選び方について解説します。
不動産投資初心者必見!融資審査が「厳しい銀行」と「緩い銀行」の見極め方【現役・元銀行員が解説】

融資が通りやすい金融機関の見極め方

融資には、その時々によって融資が降りにくく審査が厳しい金融機関と、いわゆる緩い金融機関が存在します。同じ人が同じ物件を提案したとしても、A銀行では融資が受けられてB銀行では受けられない、といった事態が起きるわけです。

 

これは景気の状態や理事長の方針、支店長の方針、不祥事の有無など、さまざまな条件によって変わります。では、融資に積極的な金融機関は、どのように見極めればいいのでしょうか。

 

「金融機関ランキング」を調べる

もっとも有効な方法は、「金融機関のランキング」を確認すること。各メディアやダイヤモンド、エコノミストが発表するランキングを見て、勢いのある金融機関を把握することです。ランキング上位の銀行であればあるほど、下位の金融機関と比べると融資は積極的であるでしょう。

 

こちらは2020年度、日本全国102地銀の不良債権比率ランキングです。他にもさまざまなランキングがあるので、一度検索してみてはいかがでしょうか。

 

出所:マネーポストweb『日本全国102地銀の「不良債権比率」ワーストランキング』(2020年9月29日7:00)を参考に著者作成 注:数値は各銀行が決算資料内で提示しているものを掲載
[図表]全国102地銀の「不良債権比率」ランキング

 

「ディスクロージャー誌」を確認する

次にオススメなのが「ディスクロージャー誌」を確認することです。ディスクロージャー誌とは、銀行の決算書のようなもので、その銀行がどのような業種にどれだけ融資をしているのか、預金残高などがわかる説明資料です。銀行のホームページには必ず掲載されており、その銀行のすべてが記載されています。

 

ディスクロージャー誌を見たとき、仮に不動産の融資割合がゼロであれば、その銀行に不動産の融資の打診に行っても、融資を受けることは難しいでしょう。反対に、不動産の割合が全融資額の80%であれば、その銀行にアプローチする価値は高いといえます。

 

そしてポイントは、昨年度と比較すること。たとえば、昨年は100億円のうち10億円しか不動産に融資していなかったのに、今年は100億円のうち30億円まで増えていたとします。この場合、昨年よりも不動産に対して積極的に融資していることが見受けられます。逆に、昨年よりも消極的になっているのであれば、アプローチしてもムダになる可能性が高いです。

 

金融機関におけるディスクロージャー誌は、業務および財産の状況に関する説明資料であり、銀行・信用金庫・信用組合には、半期ごとに作成・公開を義務付けられています。したがって、ご自宅から最寄りにある銀行のディスクロージャー誌は、すべて確認するべきです。

 

信用金庫・信用組合の場合:知り合いの「総代先」に紹介してもらう

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信用金庫と信用組合のみディスクロージャー誌には「総代先」があり、簡単にいえば「お得意先」を意味します。これは株式会社における大株主のようなもので、その銀行が多く貸している融資先や総代先は、ディスクロージャー誌に記載してあります。

 

地域密着の信用金庫と信用組合のディスクロージャー誌を見て、「総代先」に個人名が書いてあったとしましょう。そして、その総代先から金融機関を紹介してもらうと、担当の印象はガラッと変わり、比較的ラクに融資を受けることが可能かもしれません。

 

なお、「総代会」という株主総会のような会があり、そこでは総代の人の意見が取り入れられるくらい、金融機関への影響力があるのです。そうした人に紹介してもらえたら、その金融機関では融資を受けられるでしょう。

銀行の融資状態を調査→総代から紹介してもらう

銀行に行く前には、ディスクロージャー誌から銀行の融資状態を把握し、総代先に知り合いがいないかを確認しましょう。また、信用金庫・信用組合ごとに総代はいるのですが、細かくいうと支店ごとにも総代は存在します。不動産投資業界では、よく「金融機関は飛び込みではなく、紹介してもらうのがオススメ」といわれますが、最もいい方法は総代からの紹介なのです。

 

※本記事は『現役&元銀行員が本音で教える! 初心者も経験者も不動産投資をはじめる前に読みたかった 融資の教科書』(ごきげんビジネス出版)一部を抜粋し、幻冬舎ゴールドオンライン編集部が本文を一部改変しております。