年収2,000万円の不動産投資経験ゼロの個人事業主
【プロフィール】
興津和雄さん(仮名)
38歳
個人事業主
年収2,000万円
家族構成:3人
資産:なし、自己資金1,000万円
不動産投資の経験なし。もともと物販業を営んでおり、事業の利益を不動産に充てるために不動産を勉強中。確定申告3期分・経歴書等を持参。税務のことはわからず、税理士に丸投げしている。スーツを着用。
6人の現役&元銀行員たちの査定結果は?
Aさん(50代・都市銀行)の回答
→「ビジネスローン、または信用保証協会付きなら貸し出します」
【Aさんの略歴】
一般店と都心店で融資課長12年、法人営業7年。取引額約300億円、案件数800件以上。
Bさん(40代・地方銀行)の回答
→「所得が2,000万円で生活余剰資金を貯蓄して不動産などに回す、という考えならば、前向きに検討します。属性の聞き取りのほか、具体的に購入したい物件があれば物件の概要もヒアリングします。それと同時に、本業である物販業の足元の業況と、今後の計画についてもヒアリングします」
【Bさんの略歴】
営業課長1年、融資課長1年、法人営業15年(内、不動産業者専門部隊2年、法人アウトバウンドコールセンター2年)。リスケ先に対し他行含む1本化で正常債権へ転換。温泉掘削プロジェクトに20億円融資、分譲マンションプロジェクト多数。全店表彰で金賞3回。取引額120億円程度、案件数200件以上。
Cさん(40代・信用金庫)の回答
→「取り組みしやすいですが、ご自身で財務内容を把握していないのはマイナスに見ます。その辺りから説明、意識づけさせます」
【Cさんの略歴】
法人融資営業7年、経営企画部3年半。経営企画部で金庫全体の中期計画策定、新店出店の計画、融資リスクの管理、財務局、日本銀行との交渉など。預金店舗から融資店舗に切り替えた実績があり。取引額100億円程度、案件数200件以上。
Dさん(30代・信用金庫)の回答
→「なぜ物販の利益を不動産に充てるのか、その意図を確認します。不動産経営される動機が曖昧なら信用できないため、丁重にお断りします」
【Dさんの略歴】
支店3年、本店営業部1年、法人営業部(現在)5か月。同新規案件を取得数が同期で1番。取引額約50億円、案件数50件以上。
Eさん(20代・信用金庫)の回答
→「収入も十分にあり、自己資金もあるので検討できると思います」
【Eさんの略歴】
法人営業2年半。融資商品内容を精査し、お客さまにいちばん合うかたちで財務改善を行うことができた実績あり。取引額約10億円、案件数7件以上。
Fさん(40代・信用組合)の回答
→「税理士に丸投げするのは構いませんが、内容は説明を受けて自らが理解していないと、新たに不動産をはじめても危険であることをお伝えします」
【Fさんの略歴】
法人営業10年。融資部門成果TOP3以内四度獲得。取引額90億円程度、案件数250件以上。
元・現役銀行員の回答まとめ
自身の財務状況を把握しておらず、税理士に丸投げしていることは、やはり悪影響を与えます。また「なぜ、不動産をはじめるのか?」その理由づけを気にする金融機関もありました。しかし、全体的には前向きな印象です。
筆者からのアドバイス
すでに自営業として独立されている方は、確定申告や決算書を金融機関に持っていった際、「この売上は何ですか?」「この経費は?」「この商品は何ですか?」など聞かれることが多いです。金融機関は自身の財務状況を把握していない方に、お金を貸したいと思いません。経営している事業の状況や先行き、事業計画、経歴、なぜ不動産をはじめるのかなどを、スムーズに説明できるように準備をしておきましょう。
※本記事は『現役&元銀行員が本音で教える! 初心者も経験者も不動産投資をはじめる前に読みたかった 融資の教科書』(ごきげんビジネス出版)一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。