氷河期世代は1993年から2005年に学校を卒業、またはこの時期に就職活動を行った人を指しますが、実にその間10年以上。その厳しさには濃淡があります。大学卒であれば、2000年の就職内定率が最も低く、どん底だったといえるでしょう。彼らが歩んだ20年余り、そしてこれから歩む20年ほどを考えたとき、そこには絶望しかありませんでした。みていきましょう。
手取り「17万円」の残酷…〈46歳の大卒非正規〉老後もらえる絶望の「年金受給額」 (写真はイメージです/PIXTA)

就職氷河期「どん底世代」…これから20年も底辺の行き着く先

厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、40代後半、大卒・男性・非正規社員の月収(所定内給与額)は25.7万円。中央値は22.6万円です。保険料や税金を引くと、独身で手取り18万円に届かない程度でしょうか。大卒の初任給と同じ程度か、それ以下の金額です。

 

最近、氷河期世代の正社員化を後押しする流れもありますが、40代後半で初めて正社員になったとしても、平均的な給与を手にすることができるわけない……ならば、このまま非正規社員を続けていっても変わらない、と考える人も多いでしょう。もう時はすでに遅し、というわけです。

 

大学を卒業以来、非正規社員の中央値程度の月収しか手にしてこなかったら。生涯年収は正社員に比べて半分以下。65歳まで働いたとして、手にできる厚生年金は月5.5万円程度。国民年金と合わせて月12万円程度となります。厚生年金受給者の65歳以上男性の平均は17万円程度ですから、月5万円程度の差となります。

 

給与ほどは差がない年金ですが、片や正社員として歩んできた人生、老後に備えて十分な貯蓄もあるでしょう。一方で、大学を卒業して以来ずっと非正規社員の人が、将来を見据えて貯蓄できる余裕があったとは思えません。“預貯金ゼロ”のその日暮らし、ということも十分に考えられます。

 

さらに厚生年金への加入を前提にしていますが、厚生年金の適用拡大はつい最近のこと。いままで厚生年金に入ったことがない、ということも考えられますし、今後も未加入ということも考えられます。40年間、国民年金保険料を払い続けたとしても、65歳から手にできる年金は月6.6万円。保険料の滞納等があれば“それ以下”という、なんとも絶望的な未来もありうるのです。

 

年金月6.6万円以下で貯蓄なしでは、65歳以降も働き続けることは確定です。しかし、もし月々の給与だけで暮らしていけるなら、65歳以降も年金を受け取らず、繰り下げ受給で年金の増額を狙うのも手です。75歳まで年金を受け取らずにいたら、増額率は84%。65歳で国民年金満額支給=月6.6万円を手にできるとしたら、「6.6×1.84」で月12万円程度の年金を手にできる計算です。

 

見捨てられた世代となることが確定の氷河期世代のさらにどん底の世代。「繰り下げ受給で年金およそ2倍」がせめてもの救いかもしれません。