サラリーマンが年収を上げるには、副業や兼業に勤しむことのほか、本業の職場で実績を挙げて役職に就く=出世するという方法があります。しかし、日本では「管理職になりたい」と考えている人は2割程度だとする調査結果があります。しかし、「責任が増えるから」「仕事量が増えるから」という理由だけで出世を拒み、「平社員」で居続けることにリスクはないのでしょうか。統計から考えます。
「仕事が増えるのはしんどい」…“出世”には見向きもせず、生涯〈平社員〉でいることを決めたお気楽サラリーマンの末路 (※写真はイメージです/PIXTA)

「出世組」と「平社員」…受け取る年金額の差は生涯で450万円

さらに、現役時代の給与の差は、65歳から受け取れる年金額にも影響します。

 

現時点では、20~60歳の40年間に未納期間がなければ国民年金の老齢基礎年金を年間77万7,792円受け取れることになっています。会社員として勤めてきた人であればこの老齢基礎年金に加えて、老齢厚生年金を受け取れるわけですが、これを構成する「報酬比例部分」の計算に、現役時代の給与差が影響を及ぼすことになるのです。

 

「報酬比例部分」は、2003年3月以前は①「平均標準報酬月額×7.125/1000×2003年3月以前の加入月数」、2003年4月以降は②「平均標準報酬額(標準報酬月額+標準賞与額)×5.481/1000×2003年4月以降の加入月数」によって計算します。つまり、高い給与で長期間働けば、それだけ受け取れる年金額が増えるということです。

 

厚生年金の基本となる平均標準報酬額は、順調に出世したサラリーマンの場合、65万円。一方、引退まで平社員だったサラリーマンは56万円。

 

これを当てはめて計算すると、出世したサラリーマンの年金受給額は、厚生年金部分が13.1万円で、国民年金と合わせて19.7万円ほどになります。一方、平社員の場合は厚生年金部分が11.3万円、国民年金と合わせても受給額は17.9万円ほど。月額の差は2万円ほどですが、男性の平均余命を考えると生涯で450万円の差につながります。

 

もちろん会社によって制度や考え方が異なるため、管理職をめざすべきなのか、それとも平社員に留まったほうがいいのか一概にいうことはできません。しかし統計を読み解く限り、平均的には管理職のほうが給与が高く、現役引退後も多くの年金を受け取れることは事実です。

 

「仕事が増えるのはしんどい」という近視眼的な見方で出世を避けているのであれば、老後のことも視野に入れて自身のキャリアを再検討すべきでしょう。年金生活に備えて順調に資産形成ができている人は別ですが、そうでない場合、平社員のままサラリーマン人生を終えた人を待っているのは、「しんどい老後」かもしれません。