田淵夫妻の「遺族年金受給額」は…
3つ目の年金の機能を説明する前に、さっそく田淵夫妻に持参いただいた、ねんきん定期便から遺族年金受給額を試算していきましょう。
章さんは長年会社員をしてきましたが、定年後は経営コンサルタントとして働く予定だそう。今回はそれを前提に“万が一の保険”の額を計算します。
会社勤めで定年退職を予定している方は、まず「受給資格期間」が300ヵ月(25年)を超えていることを確認してください。もしそれ以下であれば、厚生年金から支給される遺族厚生年金が受けられないからです。[図表1]の受給資格期間を見ると章さんは470ヵ月ありますので、綾子さんは遺族厚生年金を受けることができます。
遺族厚生年金の金額は章さんの老齢厚生年金の75%となりますから、約83万円です。さらに、綾子さんが65歳になるまでは「中高齢寡婦加算」が約60万円支給されます。したがって、万が一、夫の章さんが先に亡くなってしまった場合、合計143万円が国から支給されるということがわかりました。
もし田淵夫妻のお子様が18歳以下であればこれに加え「遺族基礎年金」も支給されますが、すでに2人のお子様はどちらも成人されているため、受けることはできません。
奥様が65歳になると、遺族厚生年金は奥様の老齢厚生年金と調整されます。したがって、次は奥様のねんきん定期便を見ていきましょう。
[図表2]の「老齢厚生年金」を見ると、綾子さんの老齢厚生年金額は9万5,000円であることがわかります。一方先述のように、章さんが死亡した場合の遺族厚生年金受給額は83万円ほど。
綾子さんが65歳になり、調整されたあとの年金は、この9万5,000円の老齢厚生年金と73万5,000円の遺族厚生年金を合わせて83万円となる見込みです。金額は調整前と変わりませんが、内訳が変わっています。遺族年金は非課税ですが、老齢年金は課税対象ですので、額面が同じでも手取りが変わることがあるため注意が必要です。
ここまでで、もしも章さんが亡くなった場合、綾子さんは65歳になるまでは143万円、その後は160万円が国から支給されるということがわかりました。
妻・綾子さんが先に亡くなった場合、夫はいくら受け取れる?
では反対に、先に綾子さんが亡くなった場合、夫の章さんは遺族年金としていくら受け取れるのでしょうか。
綾子さんも過去のお勤め経験から老齢厚生年金があるため、計算上はこの75%が遺族厚生年金となるはずです。しかし、章さんの老齢厚生年金に吸収されるため、実際には遺族年金はまったく受けられません。つまり、妻亡き後、章さんが国から受け取れるのは老齢年金の約188万円のみとなります。
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