【衝撃】ハミガキをサボると太りやすくなる!? 「お口の中」と「全身疾患」のまさかの関係(歯科院長が解説)

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【衝撃】ハミガキをサボると太りやすくなる!? 「お口の中」と「全身疾患」のまさかの関係(歯科院長が解説)
(※画像はイメージです/PIXTA)

毎日のハミガキ。大変だなぁと感じるときはありませんか? 歯科医の橋村威慶氏でさえ、忙しかったり、疲れていたりすると、手を抜いてしまおうかという衝動に駆られるといいます。でも、日々のブラッシングをサボってしまうと思わぬアクシデントや、「えっ、こんな病気にもなってしまうの?」という事態が起こることもわかっています。今回のテーマは「ブラッシングしないとどうなるの? 口腔と全身疾患との関係」です。また、お口の中をキレイに保つ予防法も見ていきましょう。

新生児の口に虫歯菌や歯周病菌はいない?

(※画像/PIXTA)
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そもそも、いつから口の中には細菌がいるのでしょう? 虫歯菌や歯周病菌は生まれながら持っていると思われがちですが、そうではありません。母体にいるとき、口の中は無菌状態に近いのです。細菌により時間差がありますが出生後に感染します。たとえば虫歯の主体となるミュータンス菌は、生後34日後にはすでに9%の子どもが感染し、生後16ヵ月までには58%の子どもが感染していることが研究によりわかっています。感染のうち、お母さんから感染する率は50~85%程度と言われています。その他、食器や同世代のお友達からも感染することがあります。

 

歯周病菌も同様です。歯周病菌は年齢とともに徐々に複数の種類の菌が感染し、青年期にはその菌が複合体となって常在菌になっていきます。

 

虫歯菌にせよ歯周病菌にせよ、一番の感染源となっているのはお母さんです。母親の口の中に虫歯が多くあったり歯周病にかかったりしていると、その子どもも虫歯や歯周病になりやすい細菌叢(=細菌のかたまり)となってしまいます。お母さんの口の健康は、お母さん自身だけでなく、お子さんの分も担っていることがわかりますね。

 

他にもカンジダ菌など悪さをする菌はたくさんいますが、口の中だけで500〜700種類の細菌がいます。その数は口腔衛生状態が良い人で1,000〜2,000億個ですが、悪い人だと1兆個を超え、便1gあたりの細菌より多くなります。

ハミガキをサボったらどうなるの?「お口」以外の病気リスク

(※画像/PIXTA)
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残念ながら、現代の医療では口の中を無菌化することはできません。ですが、口腔ケアをしっかり行えばいろんな病気を予防できます。では、反対に、口腔ケアを怠るとどのような病気になってしまうのでしょうか?

 

①肥満になる 〜炎症とBMI〜

肥満=病気とは言えませんが、肥満は多くの疾患の原因となります。なぜハミガキを怠ると肥満になるのでしょうか? それには2つの理由があります。1つは炎症によるもの、もう1つは歯の喪失によるものです。

 

炎症は、口の中が不衛生になり菌が増えることで広がっていきます。中でも炎症を起こす代表である歯周病菌は、その毒素(リポ多糖)を血液中に容易に入り込ませます。血液中に入り込んだリポ多糖は肝臓に脂肪を沈着させ、肥満に結びつくことが2015年の研究で明らかになっています。そして肥満した細胞からはTNF-αという炎症性物質がたくさん産生され、歯周病をさらに悪化させてしまうのです。

 

歯の喪失については、最近の疫学的な研究の結果、40代以上はBMIが高くなるにつれて失われる歯が多くなることがわかっています。さらにこの研究では、30〜60代の奥歯の保有者率が有意に低いとされています。奥歯がないとよく噛むことができないので、十分に咀嚼しないまま飲み込むことになり、早食いになります。広島大学の研究では、早食いの人は普通に食べる人に比べてメタボの発症率が6.5%高いことがわかっています。

 

ハミガキをサボるだけで「肥満になる可能性」がこんなにたくさん出てくるなんて、驚きですよね。

 

②糖尿病になる、もしくは悪化させる

以前は糖尿病になってしまったから歯周病が悪化すると考えられていましたが、現在は研究が進み、歯周病は糖尿病を悪化させる一因というのがわかってきました。先ほど出てきたTNF-αという炎症性物質は、歯周病菌によって多量に放出され、インスリン(血糖値を一定に保つホルモン)の作用を邪魔します。インスリンが作用しないと高血糖状態になります。これが糖尿病です。糖尿病は、腎症や網膜症、ひいては心筋梗塞、脳梗塞を起こす引き金になるため、放っておくととても怖い病気です。

 

ちなみに血糖値を下げる役割を持つのは、体内ではインスリンだけです。反対に、血糖値を上げるホルモンは多く存在します。きっと人類は太古から飢餓と闘ってきたのでしょう。

 

歯周病治療をすると糖尿病が改善することが多くの研究によりわかってきています。そのうち最も新しい研究では、歯周病治療を行うことによってHbA1c(糖尿病の度合いを示す数値)の平均値が3〜4ヵ月で0.43%へ、半年で0.30%へ、1年間で0.50%へと減少したことが報告されました。

 

【*出典】Dhingra, K., Jeng, JH. Does periodontal treatment improve glycaemic control in periodontitis patients with diabetes mellitus?. Evid Based Dent 24, 12–14(2023).https://doi.org/10.1038/s41432-023-00863-x

 

私は歯周治療をしている糖尿病患者さんにHba1c検査の結果を聞くことにしています。それと同時に、歯周治療によってHba1cが下がることも話します。糖尿病の患者さんは数値の変動に一喜一憂される方が多く、歯周治療によるHba1cの低下がわずかであっても糖尿病患者さんにとってはとても励みになるものです。

 

③骨粗鬆症になる、悪化もする

ピンと来ない方もいると思いますが、口の不衛生は骨粗鬆症となる原因の1つです。2023年に発表されたアメリカの国民健康栄養調査では、骨粗鬆症と歯周病は密接に関連しており、骨粗鬆症と歯周病ともに重症化するリスクが高いと示唆しています。

 

骨粗鬆症は女性に多い病気です。女性ホルモンのエストロゲンが少なくなると、骨を食べる破骨細胞が活発化して骨の密度が下がってしまい、骨折などを起こすリスクが高まります。閉経後はエストロゲンが一気に減少し、歯は骨(歯槽骨)に支えられていますが、骨密度が下がると歯の周囲の組織が脆くなります。すると歯周病菌が繁殖しやすい環境となり、前述のTNF-αが血中へと大量に侵入します。そして破骨細胞をより活性化させ、骨密度をどんどん下げてしまうのです。骨粗鬆症で歯周病のある方はセルフケアだけでは治せません。すぐにでも歯科医院で治療を受けましょう。

お口の中をキレイに保つには?

(※画像/PIXTA)
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口の中の不衛生は、まさに百害あって一利なし。前稿で紹介した認知症のように、口腔衛生不良によって引き起こされる病気はまだまだありますが、いずれにせよ、口の中を清潔にしておくことが多くの病気を予防することにつながります。ここからは、口の中をキレイに保つコツをご紹介していきましょう。

 

●鏡を見てブラッシング

ハミガキはほとんどの人が習慣化していると思いますが、習慣になっているがゆえに、たとえばスマホ画面を見ながらなど、“ながらミガキ”をする人も多いと思います。ここが盲点です。ブラッシングに対する集中力がおざなりになると、正しいブラッシングができず、口の中の微妙な変化も気付きにくいと言われています。ぜひ鏡を見ながらブラッシングするようにしましょう。

 

●ハミガキは何分間やればいい?

厚労省のデータによるとハミガキの時間は平均1〜3分間となっており、一般的に推奨される時間も3分間です。この3分間、短いようで実は長いんですよね。私も試しに時計を見ずに磨いてみたら、3分間磨いたつもりが実際は2分弱ほどしか経っていませんでした。

 

しかし実際のところ、3分かければきちんと磨けるのでしょうか? 答えはノーです。歯科医院では、ハミガキ指導のために歯垢(しせき)を赤く染め出す液を使い、患者さんに3分間歯を磨いてもらうことをします。私は臨床に出て25年目になりますが、3分間で完全に染め出し液をキレイに取り除けた患者さんは皆無です。

 

では、どれくらい時間をかければきちんと磨けるのでしょうか。参考までに私の学生時代の実習のお話をします。その実習は染め出し液を使用して完全に磨くという内容でした。早く磨けた歯学部の学生でも30分以上、なかには2時間かかる学生もいました。ハミガキって意外と難しいものなのです。

限られた時間でできるだけキレイに磨くには

(※画像/PIXTA)
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毎回100%キレイに磨くのは難しいので、現実にできる範囲で考えていきましょう。それにはまず、一日2〜3回、1回3分以上ハミガキをするようにしましょう。このとき、時間の長さを変えるのが有効です。たとえば1日2回、6分間ハミガキしたとしましょう。これを2回とも均等に3分間ずつ行うのではなく、ハミガキ時間を2分間と4分間に分けるのです。同じ時間でブラッシングしていると磨き足りない箇所が出てきます。トータル時間は同じでも、長く磨く回を設けることでよりしっかりと磨けます。特に、細菌が活動しやすい「夜」にしっかり磨くのが効果的です。

 

●電動ブラシは効率的

電動ブラシは有効です。最近の電動ブラシは多機能でヘッドのサイズも様々です。私のオススメは音波電動ブラシです。音波は効率的に歯垢を取り除いてくれるんですよ(歯科医院は超音波の機械を使用)。

 

中でも特にオススメなのはハミガキ時間を設定できるものです。疲れている日など、どんなにハミガキが気乗りしないときでも、歯ブラシが動いている時間はハミガキできるものです。

 

歯ブラシのヘッドについては、フィットするものを個人で見分けるのは難しいので、購入する前にかかりつけの歯科医院に聞くことをオススメします。

 

●舌ブラシを使う

皆さんは自分の舌を観察したことがあるでしょうか? 舌は細菌がつきやすく、口臭の原因にもなります。

 

舌の表面が妙に黄色かったり、白かったり、苔みたいなもの(=舌苔:ぜったい)が生えているように見えたら要注意です。

 

舌には専用の舌ブラシがあります。上記のような状態であれば、ぜひ舌ブラシを使用しましょう。ただし、舌ブラシは正しい使い方をしないと舌を傷つける恐れがあります。使い方は歯科医院の指導を受けましょう。

 

●洗口剤を使う

洗口剤は菌の繁殖を抑えるのにとても有効です。爽快感が得られるものや、虫歯予防、歯周病予防など多くの種類があり、どれを選ぶか迷ってしまうところですが、細菌の抑制が目的であれば、医薬品の洗口材を使いましょう。洗口剤は細菌の繁殖を抑えるだけでなく、コロナウイルス、インフルエンザウイルスの感染を抑える役割を持つものもあります。毎日使用するとより効果的です。どうしてもハミガキをする時間がない場合、洗口剤でうがいするだけでも細菌の抑制効果がありますので、常備しておくことをオススメします。

 

●定期的に歯科医院を受診する

歯科医院を定期受診していると、「もうすぐ歯医者さんに行くから、ハミガキをしっかりしないと」という気持ちになります(逆に、もうすぐ歯医者さんでクリーニングするから適当でいいや…という方も一定の割合でいらっしゃいますが)。そういう意味では、定期的な歯科受診はハミガキをサボるのを防ぐ効果があります。そして何より早期発見・早期治療という点からも定期的な歯科医院の受診は重要です。

 

以上、今回は口腔と全身疾患の関係や口の中をキレイに保つヒントを述べました。健康はまず口を清潔にするのが大切ですね。

 

 

橋村 威慶

サッカー通りみなみデンタルオフィス 院長

 

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本記事は、株式会社クレディセゾンが運営する『セゾンのくらし大研究』のコラムより、一部編集のうえ転載したものです。