年収1,000万円でも困窮の理由、4つ
――毎日、手作り弁当持参で頑張ってる
――夫婦で使うものは、たいてい中古品
――給与日前は財布に小銭しかなくなる
高給取りたちの意外に質素な生活は、ネット上にもあふれています。決まって口を揃えて言うのは、「日本で年収1,000万円を超えたくらいでは楽はできない」という、なんとも夢のない話ばかりです。
なぜ、こんなにも日本の高給取りサラリーマンは、困窮しているのでしょうか。
日本の高給取り困窮の理由①意外と手取りが少ない
日本の所得税は所得が高ければその分所得税が増える累進課税。税額は、収入から所得控除を差し引いた金額に税率をかけて計算。所得控除は、扶養家族や生命保険の加入状況等で変わるので、人によって異なります。さらに社会保険料も収入に対し一定割合なので、収入が高ければ各種保険料も増えます。年収1,000万円であれば、社会保険料は140万円ほど(東京都の場合)、所得税は80万円ほど、住民税は60万円ほどで、手取りは720万円程度になる計算です。手取りは額面の3割ほど。額面と手取りのギャップは、年収が増えるほど感じるようになります。
日本の高給取り困窮の理由②公的な支援の対象外
よく言われている児童手当の所得制限。これは撤廃、対象の拡充の方向にあるので、ひと安心といったところ。しかし、授業料支援を受けられる「高等学校等就学支援金制度」は年収約910万円未満の世帯と、いまのところ高所得世帯は対象外。自治体独自の「乳幼児医療費助成制度」にも所得制限があります。
日本の高給取り困窮の理由③教育費が高い
生活が苦しくても……と節約しづらいのが子どもの教育費。周囲に合わせて中学受験をさせたり、そのために学習塾に通わせたり、さらに複数の習い事をさせたり……高給取り世帯の場合、雪だるまのように増えていくことも珍しくありません。総務省『家計調査』によると、年収600万円世帯と比べて、年収1,000万円世帯の教育費はほぼ2倍。その分手取りが多いわけではなく、家計を圧迫する要因になっています。
日本の高給取り困窮の理由④住宅ローンも高い
「自分は高給取り」という自意識であったり、「子どもの教育のために」という理由であったり、いくつもの原因が重なり、高給取りはワンランク上の物件を選びがち。おのずと、住宅ローンの返済も高くなります。総務省『家計調査』によると、年収600万円世帯に対し、年収1,000万円世帯のローン負債は1.2倍ほど高くなっています。
高給取りサラリーマンは、手取りが意外と少なかったり、支援対象外だったりと事情はあれど、結局は「支出が多くなりがち」ということが困窮の一番の原因。周囲に合わせて「ちょっといいものを選びがち」など、心当たりはないでしょうか。生活のレベルを上げるのは簡単でも、下げるのは至難の業。値上げラッシュのなか、最も影響を受けているのは、そんな高給取りサラリーマンです。高給取りなのに貧乏、さらには「生活破綻」に陥ってしまう可能性も否定できません。
給与アップのたびに生活水準をあげていくのはNG。困窮する高給取りサラリーマンを反面教師にするのが賢い家計運営のコツといえそうです。