賃上げの流れのなかで、給与アップを実現する人たち。一方でいつまでも低収入で生活に困窮する人たちもいます。たとえば大学を卒業しても就職が難しかった氷河期世代。そのなかには、一度も正社員になれず、不本意ながら非正規社員を続けるケースも。みていきましょう。
手取り18万円〈給料日まで10日で残金200円〉47歳・非正規男性の悲痛「ただ、時代が憎い」 (写真はイメージです/PIXTA)

賃上げ率3.6%も中小企業は蚊帳の外⁉給与格差はさらに拡大

厚生労働省は春の労使交渉の結果を公表しました。それによると、平均妥結額は1万1,245円で平均賃金は31万2,640円と、賃上げ率は3.60%。賃上げ額、賃上げ率はともにコロナ禍前の2019年を大きく上回った、としています。

 

これは妥結額などを把握できた、資本金10億円以上、かつ従業員1,000人以上の労働組合のある企業364社の結果を集計したもの。そのため、今回、誰もが給与アップとなったわけではありません。中小企業に関しては色々な調査結果があり、8割が実施予定という調査もあれば、信用金庫が取引企業に対し行った調査では実施率2割程度という調査もあります。

 

いずれにせよ、実際に賃上げを行うには、企業に余裕がなければ難しいため、体力のない中小企業では「賃上げの必要性は分かっているが……」というのが現状のようです。

 

厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、従業員1,000人以上の大企業の月収(所定内給与額)は34.83万円。それに対し従業員100~999人の中企業は30.30万円、従業員10~99人の小企業は28.45万円。大企業の給与を100とした際に、中企業は87.0、小企業は81.7と、小企業は大企業の8割程度の給与にとどまります。

 

さらに賞与も含めた年収になると給与格差はさらに拡大。大企業は585.4万円、中企業は480.9万円、小企業は422.9万円となり、大企業の年収を100とした場合、中企業は82.1、小企業は72.2となり、小企業の年収は大企業の7割程度になります。

 

さらに給与差は正社員と非正規社員の間でも如実に現れます。

 

大企業の正社員の平均給与は月収で37.5万円、年収で644.8万円。それに対して非正規社員は月収で22.8万円、年収で320.9万円です。小企業だとどうでしょう。正社員で月収29.3万円、年収は440.0万円。それに対して非正規社員は20.8万円、年収で280.7万円。正社員の給与を100とした場合、大企業だと月収で60.8、年収で49.7。小企業だと月収で70.9、年収で63.7。大企業のほうが、正社員と非正規社員で分かりすぎるほどの給与差が生じています。