今後、住宅ローン金利は上昇していくのではないかという見方が強まっています。そんな中、すでに住宅ローンを利用している人たちのところには、金融機関から「うちならもう少し負担が軽くなりますよ」と、借り換えの提案が増えているようです。しかし、借り換えの場合は新築時のローン契約よりも審査が厳しくなることが多く、実際に「審査に落ちてしまった」という声が相次いで聞かれます。年収も勤務先も問題ないのに、なぜ審査に落ちてしまうのでしょうか。その要因を考えます。
「何回か繰り上げ返済もしているのに」..築8年のマンションに暮らす40代夫婦が住宅ローン〈借り換え審査〉に落ちたワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

40歳で新築マンション購入のサラリーマン…返済負担は「ギリギリ」の水準

不動産経済研究所が公表したところによると、23年6月の首都圏新築マンションの平均価格は6,550万円。東京23区に限ると、平均1億円を超えており、高値を更新し続けています。

 

国土交通省『令和4年度住宅市場動向調査』によると、三大都市圏における新築マンションの購入者の平均年齢(世帯主)は39.9歳で、平均世帯年収は923万円。頭金として3割程度の資金を用意し、残りは30年ほどのローンを組んで購入している…というのが平均的な姿といえそうです。

 

■新築分譲マンション購入者(一次取得)の平均像
世帯主平均年齢 39.9歳
購入資金 5,048万円(うちローン3,610万円)
自己資金比率 28.5%
平均返済期間 29.7年
返済負担率:17.4%

出所:国土交通省『令和4年度住宅市場動向調査』
※返済負担率以外は一次取得者に限る

 

年収900万円の世帯が、首都圏の平均的な新築マンションを購入したとしましょう。物件の購入価格は平均に近い6,500万円。マンションの価格が高騰していることから、頭金は平均よりも少なめの2割とし、借り入れ総額は5,200万円。返済方式は元利均等、金利は0.5%・返済期間は25年とすると、利息分は332万8,357円、月々の返済額は18万4,428円となります。

 

住宅ローンの適正額は、年収に対する返済負担率として20~25%程度に収めたいところ。上の例は世帯年収900万円に対して、年間返済額が221万3,136円。返済負担率は24.6%ほどですから、少々の負担感はあるものの、許容できる水準といえます。