「お酒は飲めば強くなる」って本当?→医師「ある意味、真実です」のワケ【種類別「お酒の適量」掲載】

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「お酒は飲めば強くなる」って本当?→医師「ある意味、真実です」のワケ【種類別「お酒の適量」掲載】
(※写真はイメージです/PIXTA)

お酒を飲んで、顔が赤くなる人とならない人がいるのは、体内にある“酵素の量の差”が原因です。実は、日本人の約2人に1人はアセトアルデヒドを分解する酵素ALDH2が欠損している、あるいは働きが弱いことが科学的に証明されていると、東京ハートリズムクリニックの桑原大志院長はいいます。では、昔からよく言われている「お酒は飲んだ分だけ強くなる」は本当なのでしょうか? 不整脈の専門医である桑原先生が解説します。

お酒が弱くても「飲めば鍛えられる」は本当?

「お酒が弱かった人でも、飲み続ければ強くなる」という言葉を耳にしたことがある人も多いでしょう。これはある意味、真実です。

 

その理由は「酵素誘導」にあります。酵素誘導とは、特定の物質の存在下で生体(通常は細胞または生体全体)が特定の酵素の産生を増加させる現象のことを意味します。つまり、体内に特定の物質が存在すると、それに反応して体が特定の酵素をより多く産生するようになるという意味です。

 

実は、アルコールを代謝するにはこれまでお話した「アルコール脱水素酵素」と「アルデヒド脱水素酵素」によるもののほかに、もうひとつ、「MEOS(ミクロゾーム・エタノール酸化酵素系)」という酵素群によるものがあります。

 

この「MEOS(ミクロゾーム・エタノール酸化酵素系)」は本来、薬などの異物を分解する働きがある酵素ですが、実はアルコールにも反応し、アルコールを多飲することで働きが強まるのです。

 

こうした酵素誘導は長期的だけでなく、短期的にも起こります。

 

たとえば、筆者は典型的なND型(ALDH2ヘテロ欠損)であり、少しお酒を飲むだけで顔が真っ赤になります。ただ、「重要な会合を兼ねた酒席だから、絶対に顔を赤くしたくない」という場合には、酒席に参加する前に少しだけウイスキーを飲んでおきます。すると、体内で酵素の分泌が始まり、酒席でお酒を飲んでも顔が赤くなりにくいのです。

 

だからといって、「お酒が弱くても飲み続ければ強くなる」と、安易に多飲するのは誤りです。長期的に酵素誘導が行われると、体の各部位にさまざまなストレスがかかり、慢性的な疾患や損傷を引き起こす可能性があります。

 

この、MEOS(ミクロゾーム・エタノール酸化酵素系)によるアルコール分解では、代謝産物が肝臓に損傷を与え、アルコール依存症や肝硬変を引き起こす可能性があることがわかっています。

 

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