「いくら年金がもらえるのか」、不安に思う人は多いですが、「どうしたら年金がもらえるのか」を不安に思っている人は少ないようです。「年金はある年齢に達すると、自動的に手にできるもの」と考えている人が意外と多いのです。そこで起きるのが「年金のもらい忘れ」。気を付けないと、想像以上に損をする可能性も。みていきましょう。
年金もらうの忘れた!元会社員・70歳のうっかり男性「年金事務所」にダッシュも「年金600万円」を失う痛恨のミス (写真はイメージです/PIXTA)

年金は「請求しないともらえない」…すごく当たり前の事実

老後に対して漠然とした不安を抱え、自身がどれくらいの年金を手にできるか気がかりになっている人は多いでしょう。しかし「その年金はどうやったらもらえるのか」という問いに、きちんと答えられる人は少ないようです。

 

――えっ、年金って65歳になったらもらえるんでしょ

 

原則はその通り。ただ考えれば当たり前のことですが、65歳の誕生日が来たら、銀行口座に年金が振り込まれるようになる、なんてことはありません。

 

現在、年金の受け取りができる年齢の3ヵ月前になると、「年金請求書」が郵送されてきます。そして必要書類を揃え、国民年金(老齢基礎年金)だけの人は市区町村の窓口、それ以外の人は年金事務所に提出。あとは振り込まれるのを待つだけになります。

 

――なんだ、ちゃんと知らせてくれるんだ

 

その通り。ただ普段から郵便物を溜めがちだったり、整理整頓が苦手だったりして、年金請求書の存在をスルーしてしまう人も。「年金請求の手続きをしていませんが、大丈夫ですか?」などと、声をかけてくれる人は基本的にいません。見過ごしてしまった人は、自身で気付くしかないわけです。

 

そもそも年金には5年の時効があります。年金の受給権が発生してから5年間放置すると受給権は消滅します(国民年金法第102条第1項・厚生年金保険法第92条第1項)。しかし、実際に国が時効の成立を主張することはないので、5年で受給権が消滅することはない、というのが現実のようです。

 

「はっ、年金もらい忘れてた!」ということがあっても大丈夫、というわけです。ただし損をしてしまう場合もあるので、年金のもらい忘れが発覚したら速やかに手続きするのがおすすめです。というのも、「もらい忘れの年金は、過去5年分しか請求できない」という原則があるからです。