大学全入時代といわれ久しく、「大学くらい出ておきなさい」というのが親のお決まり文句になっています。一方で「そこまでして大学に進学して意味があったのだろうか」と後悔する若者も多いとか。みていきましょう。
手取り月19万円…「月1万円でもツライ」都内1人暮らし男性の悲鳴「後悔しています。」 (写真はイメージです/PIXTA)

親が「どこでもいいから大学くらい行きなさい」という理由

同じ20代前半、正社員の男性だというAさんとBさん。月収では2万円ほどBさんが多いものの、年収ではわずかながらAさんが上回っていました。

 

●20代前半のAさん、平均月収21.1万円、平均年収354.2万円

●20代前半のBさん、平均月収23.5万円、平均年収348.6万円

 

それから5年後、20代後半となったAさんと、Bさん。月収は変わらずBさんが上回り、年収でもBさんが逆転。50万円の差がつきました。Aさんと、Bさん、その差は何なのでしょうか?

 

●20代前半のAさん、平均月収24.2万円、平均年収406.5万円

●20代前半のBさん、平均月収27.3万円、平均年収460.9万円

 

答えは、Aさんは高卒、Bさんは大卒だということです。これは厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によるもの。社会人経験が4年ほど長いAさん。20代前半は賞与額でBさんを上回り、年収にすると大卒のBさんを上回りました。しかし20代後半ではあっさり逆転。60歳定年だとした場合の生涯年収では、4,500万円ほどの差となります。最終学歴でこれほどの差が出るのであれば、無理をしてでも大学に進学させたいと考える親が多いのも当然かもしれません。

 

しかし経済的に子どもを大学に通わせるのは難しい……そう悩む親の味方になるのが「奨学金」です。株式会社リクルート 就職みらい研究所が大学4年生と新卒入社3年目までの社会人に対して行った『大学生活や奨学金制度等に関する調査』によると、奨学金制度の利用者は全体の36.1%。利用している奨学金の種類は「給付型」が36.8%、「貸与型の無利子型」は42.1%、「有利子型」は31.6%でした。

 

一方で「奨学金制度を利用すること」や「奨学金を返済すること」に対しては半数以上が不安に思い、「奨学金返済」に対して7割以上が負担に感じているようです。

 

また労働者福祉中央協議会が行った調査によると、「借入金額」の中央値は285万6,000円で、平均値は324万3,000円。借入金額が500万円以上という人は12.4%もいました。「毎月の返済額」は「1万~1万5000円未満」の人が最も多く33.5%、中央値は1万4,976.3円、平均値は1万6,880.2円。「返済期間」で最も多いのは「15~20年未満」で33.5%、中央値は15.5年、平均値は14.7年でした。