若年層ほど、新NISAなどの制度を活用して資産形成の第一歩を踏み出す必要があります。本稿では、ニッセイ基礎研究所の 熊紫云氏が、国内債券型・国内株式型・米国株式型など、パターンごとに投資のシミュレーションを行います。
新NISAでは何にどのように投資したら良いのか-長期の資産形成ではリスクよりもリターンを気にすべき (写真はイメージです/PIXTA)

新NISAで何にどのように投資したら良いのか

このレポートでは、20年間の投資期間を前提に、過去のデータで代表的な市場インデックスの投資対象に4つの投資方法で購入した場合の試算を行った。

 

結果として、すべての投資方法で、S&P500、ナスダック100、先進国株式型の最終的な時価残高がかなり高かった。

 

また、高いリターンが見込める投資対象であれば、一括投資の方が積立投資よりも最終的な時価残高が高いことも分かった。尚、毎月定額を積立投資する場合と毎月積立にボーナスを組み合わせる場合は、年間の投資額が同じであれば、最終的時価残高はほとんど同じだった。

 

長期投資では、高リスク高リターンの投資対象に投資すると、最終時価残高が雪だるま式に増えていく。

 

一方、リスクが高いため最終時価残高のバラツキも大きくなるが、最終的な時価残高の増加のメリットを台無しにするほど大きくはならない。長期投資における資産形成上のリスクは、一般的に言われている投資対象ごとの短期的なリスクほど気にしなくて良いと思われる。

 

以上を踏まえると、若いうちはまず新NISAの「つみたて投資枠」で、リスクを必要以上に恐れることなく、先進国株式型等の将来的に高いリターンが見込める市場インデックス型の投資対象に無理のない範囲で積立投資することが良いと思われる。

 

同じ税制優遇制度である確定拠出年金制度(企業型DC及びiDeCo)でも同様の投資を行い、将来に向けた十分な資産形成を早めに開始することが何よりも大切である。

 

その上で、もし収入や資金に余裕があれば新NISAの「成長投資枠」も活用し、米国株式等、より高いリターンが見込める市場インデックス型の投資対象になるべく多くの金額を投資するのが得策であると思う。

 

その後、資産形成が進み、満足できる資産残高になったら、自分の現在の収入および将来の収入見込み、年齢、健康状態、その他の財産状況等を踏まえて、投資方針を決める必要がある。

 

資金的にまだ余裕があれば、引き続きリスクが高いもののリターンが高い投資商品を持ち続けても良い。

 

一方、健康に不安があるとか、老後資金の取り崩し時期までに10年を切る等残りの投資期間があまりない人は、ある程度満足ができる資産形成ができたら、あまり無理せずに、バランス型等に資産を移行する等、リスクの低いポートフォリオにするか、もしくは思い切って預貯金にしておいた方が無難である。

 

資金の使用時期直前に株価暴落が生じると、せっかく積み上げてきた資産が大きく毀損するかもしれないからだ。