「先進国株式型・S&P500・ナスダック100」の時価残高の特徴
一方、先進国株式型、S&P500、ナスダック100は、4つの投資方法における最終的な時価残高は平均値が相対的に高いが、バラツキは大きい。ナスダック100の場合は、最終的な時価残高のバラツキが極めて大きく、最大値が1億2,479万円、最小値が1,304万円であり、その差は1億1,175万円にもなる。
特に、投資元本を早く積み上げた③積立+据置と④一括+据置の最大値が飛びぬけている。これはナスダック100のリターンのブレが大きいことから生じる。
過去のデータから、国内債券型、バランス型のような低リスク低リターンの投資対象は、リターンが低くなる代わりに、相対的にリスクを抑えた投資ができる。
一方、先進国株式型、S&P500、ナスダック100といった高リスク高リターンの投資対象は、将来の成長が見込まれ、より高いリターンが期待できると同時に、高いリスクにもさらされる。
長期的な資産形成における投資対象や投資方法への選択では、リスクとリターンのどちらを重視すべきなのだろうか。これに対する筆者の考え方を次章で説明したい。
リスクよりもリターンを気にすべき
リスクとリターンの関係として理解しておかなければならない重要事項として、一般的にリスクを取らないと、リターンが得られないということがある。逆に、リスクを取ったからといって、必ずしもリターンを得られるわけではないことも真実である。一方で、リスクを低く抑えたい場合はリターンも低くなることを甘受しなければならない。
こうした基本的な関係を踏まえた上で、投資対象への選択では、若い人の老後資金等、資産形成における投資期間が長い人は、リスクよりもリターンを気にすべきであると筆者は考えている。
なぜなら、高いリターンが期待できる投資対象に長期投資をすると、時間の経過とともに時価残高が雪だるま式に増えていくからである。一方、短期的なリターンのブレというリスクが高いと、時間の経過とともに最終時価残高のバラツキも大きくなるが、時価残高の増加によるメリットを上回るほど大きくはならないのである。
加えて、一般的に、リターンのブレであるリスクは年率換算した1年間での正規分布の標準偏差で表現されており、上ブレも下ブレも同様にリスクと捉えている。上ブレが大きい場合はリスクも高くなるが、長期投資ではその上ブレはむしろ資産形成にプラスに作用していると考えることができる。