口座数増加は鈍化
つみたてNISA(少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度)は2023年3月末時点で783万口座(棒グラフ)となり、開設される口座数は着実に増えていることがうかがえる【図表1】。
しかし、口座の増加数は2022年第2四半期以降だと前年同期を下回り続けており、一時期の勢いはみられなくなっている【図表2】。
一般NISA(橙棒)を含めたNISA全体でみても、2022年第2四半期以降だと前年同期を下回っている。
単純に来年から始まる新NISAを前に様子見している人が多いだけかもしれないが、現行NISAの口座開設はやや一巡してきているように見受けられる。
このままいくと2023年の口座の増加数は2022年のつみたて207万口座、一般37万口座、合計244万口座を下回る見込みである。仮に毎年250万口座増えたとしても、5年で1,250万口座の増加で2022年末の1,800万口座と合わせても3,050万口座にしかならない。
やはり資産所得倍増プランで掲げられた3,400万口座を達成するためには、今まで以上にNISAの利用が広がることが求められる。
さらに未使用口座の割合は高止まり
その一方で、つみたてNISAからの買付額は口座数以上に伸びており、2023年3月末時点で制度開始からの累計の買付額は3兆2,396億円と、制度開始から5年目にしてついに3兆円を超えた。
買付額の伸びが顕著なのは、つみたてNISAの実際の利用度合い、1口座あたりの買付が増加基調であるためである。
2022年の1口座あたりの平均買付額は18万円と2021年の16万円から2万円増加した。買付がなかった口座を除外しても23万円から25万円に2万円増加していた【図表3】。
ついに実際に利用している人の平均買付額が24万円、つまり毎月2万円の大台を超えた。
買付額別の口座数をみても、年間20万円超の買付があった口座数(青棒)が2022年は311万口座と2021年の184万口座から127万口座と、買付額別に最も増加した【図表4】。
ただ、年間20万円超の買付があった口座ほどではないが、買付が一度もなかった、つまり未使用の口座(灰棒)も増えており、2022年は195万口座もあった。
全口座に対する割合は低下基調で2022年が27%と制度開始来で最低となったが、2021年が28%であったことを踏まえるとほぼ横ばいであった。2020年以降は状況があまり改善しておらず、新NISAでも口座開設したものの実際に買付を行うまでに至らない人に、いかにして始めてもらうかが課題となるだろう。