年金に頼らず平均寿命まで生きる…2つの大きな落とし穴
仮に65歳で年金生活に入り、平均寿命まで生きると仮定しましょう。
男性のおひとり様は16年ほど老後生活が続くので380万円ほど貯蓄があれば事足りることになります。また女性のおひとり様は22年ほど老後生活が続くので530万円ほど貯蓄があれば事足りることになります。されに同い年の高齢夫婦であれば、男性が亡くなるまでの16年は580万円、男性が亡くなった後の6年間は150万円。合わせて730万円ほど貯蓄があれば事足りることになります。
――年金なんて、いつもらえなくなるか……
そんな心配が付きまとう公的年金。それであれば、年金に頼らず生きていくことを考えてみましょう。
高齢単身者であれば、月15万円ほどの生活費。男性であればそれが16年続くので2,880万円の貯蓄、一方女性であれば22年続くので3,960万円の貯蓄があれば、年金ゼロ円生活でも耐えることができます。
さらに夫婦であれば、男性が亡くなるまでの16年で4,550万円、男性が亡くなった後の6年は1,080万円、合計で5,630万円の貯蓄があれば、年金なんて1円もいらないといえるでしょう。
夫婦で5,630万円あれば、年金を心配することなく、平均寿命までは生きられる……大金ではありますが、決して非現実的な話ではないかもしれません。
ただし注意点が2つ。まず1点目は、物価上昇。いま現在、年金生活者を直撃しているのが、まさに物価高。将来的にいまの物価水準を保つことができれば5,630万円の貯蓄で平均寿命まで生きられますが、平均でも20年近くに及ぶ老後生活。その間、物価が一定というのは考えにくく、平均寿命まで生きることを考えても、実際はプラスαの貯蓄が必要になると考えられます。
もう1つ考えたいのが平均余命。平均寿命は若くして亡くなった方も、100歳を超えるほど長生きした人も含めての平均。それに対して平均余命はある年齢の人々が、その後何年生きられるかという期待値。仮に平均寿命まで生きられたとしましょう。男性81歳であれば、平均余命は8.63年。つまり「あと8年くらいは生きられそうですよ」ということです。一方、女子87歳であれば、平均余命は7.36年。つまり「あと7年くらいは生きられそうですよ」ということになります(関連記事:『【早見表】いつまで生きれれる?男女・年齢別「平均余命」…<簡易生命表2022年>』。
平均寿命まで……そう考えて生きてきたけれど、実際に平均寿命に達したら、実際はあと7、8年は生きられる可能性が高いということ。平均寿命を基準に考えると「長く生きるだけ悲惨」という状況になります。人生100年時代といわれていますが、長寿であることを素直に喜べるだけの備えはしておきたいものです。