今から2年後の「2025年」には日本の人口の「約2割」が75歳以上となり、超高齢化社会が到来します。その後も高齢化はさらに進む見込みで、いわゆる「老老介護」が増えると明らかに想定されます。しかし、経済ジャーナリストの荻原博子氏は、過度に心配する必要はないといいます。なぜでしょうか。荻原氏の著書『年金だけで十分暮らせます』(PHP研究所)より、日本における介護問題の今後の展望について解説します。
20年後は人口の4割超が「65歳以上」で「老老介護」の問題が深刻化…と思いきや、実は全然心配しなくていい「これだけの理由」【経済ジャーナリストが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

20年後は、「介護ロボット」の世話になる?

「両親はお金があるから、介護もなんとか切り抜けられそうだけれど、自分たちは収入が少ないから、将来は暗い」

 

そう思っている40代、50代も多いことでしょう。けれど、今の40代、50代には、団塊の世代が持っていない、お金ではない強みがあります。

 

それは、今の40代、50代が介護に突入する20年後、30年後には、介護関連の医学とテクノロジーが飛躍的に進歩しているということです。

 

今から約30年前のことを振り返ってみましょう。1995年、多くの人が、初めてインターネットというものを目(ま)の当たりにしました。

 

それまでインターネットは、大学の研究者間ではやりとりされていましたが、多くの人がインターネットを身近に感じたのは、マイクロソフト社がWindows95を発売してからです。そして、そのインターネットは、今や手のひらに載せて自由自在に操作できるスマートフォンになりました。

 

スマートフォンでインターネットが操れるようになっただけでなく、電話や写真、動画の撮影、録音、翻訳もできて、ラジオも聴けて電卓代わりにもなる。

 

しかも自分の顔を認証し、話し相手にもなってくれるようになったのです。

 

こんな変化を、30年前に、誰が想像できたでしょう。

 

しかも、今は、30年前とは比較にならないほど、倍速でテクノロジーが進歩しています。最近、高齢ドライバーの運転事故が問題となっていますが、20年後には車はほぼ自動運転になっているでしょうから、事故の心配もなくなっているはずです。

 

テクノロジーの進歩は、介護の現場もガラリと変えるでしょう。

 

先日、ある施設で、介護用のマッスルスーツロボットを着用させてもらったのですが、60キロのものを20キロくらいの感じで持ち上げることができて驚きました。

 

介護の現場は「きつい、汚い、給料が安い」の3Kだと言われますが、20年後には、入浴、排泄、歩行支援、食事、癒し、見守りなど、すべての面で介護ロボットが飛躍的な進歩を遂げていることでしょう。

 

今介護の現場では、介護人材の不足が深刻になっています。けれど、驚いたことに、旧ホームヘルパー資格も含めると介護の資格を持っている人はなんと約400万人もいるのです。

 

介護が抱える課題の1つが、身体への負担です。介護者を持ち上げる際に、腰を痛めてしまう人が多いというのです。そのため、せっかく資格があるのに、力仕事が多いため働くことをためらう人は少なくないようです。

 

しかし、介護がどんどん機械化してくれれば、主婦がパート感覚でちょっとだけ働くということも容易になるでしょう。