支え手として求められる「ボランティア」の役割とは
そこで期待されているのが、地域の専門家だけでなく、支え手としてのボランティアの存在です。介護保険では、高齢者が望んでも、庭の草むしりや家族の衣類の洗濯などは介護サービスの対象ではないためできません。けれど、地域のボランティアなら支え手になれます。
例えば、岐阜県大垣市は、ライフサポート事業として、地域ごとに〝支え合い活動〟をつくっていて、30分100円で働く有償ボランティアもいます。
大垣市では、主婦や定年退職者など約60人が有償ボランティアに登録しており、月平均150時間働いています。
介護されるのも支えるのも老人という「老老介護」ですが、団塊の世代は、リタイアしても家でくすぶっているよりは地域のために役に立ちたいという前向きな人も多い。
介護する側は、年上の弱ったご老人を支えることで自分の生き甲斐ができるし、お小遣いも稼げるので経済的なゆとりができる。介護されるほうも相手が少し若い同じ地域に住むご老人ということで気が許せる。
こうした人たちに、元気なうちは介護の手助けをしてもらい、地域ぐるみの介護が進めば、「老老介護」の未来も、決して暗いものばかりではなくなるかもしれません。
2040年、2万人の医者が介護の担い手に!?
2025年には、「看護師バブル」が弾けると言われています。今まで、看護師は、いろいろなところで不足していました。そのため、育成が急がれ、1991年には11校しかなかった看護大学や大学の看護学科が、2020年にはなんと274校にも増え、入学定員数も、1991年には558人だったのに、今や2万4,878人になっています。
結果、2025年頃には14万人もの看護師が余ると言われている(2014年時点での試算)のです。
看護師だけでなく、バブルが弾けそうなのは医者も同じ。2023年の医学部定員数は9,384人(国公立・私立合計)で、2007年の7,625人より年々増加しているのだそうです。
厚生労働省の試算では、このまま医学部の定員数が維持されると、医者の需要と供給がマッチングするのは2033年(上位推計)で、2040年になると1.8万人近くの医者が過剰になり、「医者余り社会」になっているとのこと。
そうなれば、働く場所のない医者や看護師が、地域の介護老人を支えるということになるかもしれません。