今から2年後の「2025年」には日本の人口の「約2割」が75歳以上となり、超高齢化社会が到来します。その後も高齢化はさらに進む見込みで、いわゆる「老老介護」が増えると明らかに想定されます。しかし、経済ジャーナリストの荻原博子氏は、過度に心配する必要はないといいます。なぜでしょうか。荻原氏の著書『年金だけで十分暮らせます』(PHP研究所)より、日本における介護問題の今後の展望について解説します。
20年後は人口の4割超が「65歳以上」で「老老介護」の問題が深刻化…と思いきや、実は全然心配しなくていい「これだけの理由」【経済ジャーナリストが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

iPS細胞により介護人口が激減する

介護を劇的に変えるのは、機械だけではありません。医学の分野も、20年の間に飛躍的に進歩し、誰もが長生きできる時代が到来するかもしれません。

 

がんも、つい最近まで、死に至る不治の病(やまい)と言われていました。けれど、現在は5年生存率が6割近くで、半分以上の人が治っています。しかも、早期発見なら9割が治る病気になりました。

 

がんと闘いながら働いている人は、2020年時点で44.8万人もいます。厚生労働省も、働く人のために、夜間でもがん治療を受けられる方向で検討を始めています。

 

がんは、体内に入ってくる異物をチェックするT細胞の老化が引き起こすという説がありますが、これも、山中伸弥教授らが開発したiPS細胞を使って遅らせることができるとわかってきました。

 

すでに、iPS細胞で目の網膜をつくったり、不治の病と言われているパーキンソン病治療の研究が進められたり、脊髄損傷の治療に使って完全麻痺を治そうという試みが始まったりしています。

 

その進歩の速度を見ると、20年後には、再生医療が飛躍的に進化していて、病で傷んだ臓器まで、自分の細胞で新しくつくり出したものと取り換えられるようになっているかもしれません。

 

そうなると、元気で働けるお年寄りが増え、介護人口そのものが減っていく可能性もあります。

 

荻原 博子

経済ジャーナリスト