Aさんの離婚後のマネープラン
Aさんの貯金は離婚時にすでに1,000万円を超えており、ほかに実父の相続財産も数百万円ありましたので「財産分与なんてどうでもいい。お金はいらないからとにかく別れたい」と始めはそう思っていました。しかし、将来のお金にはやはり不安があったため、筆者のほうへ相談に来られた次第です。
Aさんは離婚後、実家の母親と2人暮らしとなります。Aさんが勤めているファストフード店は実家の近くにもあるため、勤めるお店を異動させてもらい働き続けることにしました。Aさんはすでに50代半ばになりましたが、長期間の勤務で技術も信用もあり、異動の希望も問題なく受け入れられたようです。
Aさんがこれから先、特に「お金がかかる」と考えられるタイミングは、
・家の修繕やリフォーム工事
・母親の介護・看護
・Aさんが仕事を辞めたあとの生活費
の3点です。持ち家なので毎月のお金がかからないとはいえ、将来、家に傷みなどが出てくるとまとまったお金が必要になってきます。
ヒアリングの結果、リフォーム資金は父親が残してくれた財産で、母親の介護費用等は母親の年金などで賄えそうでした。母親はいまはまだ元気ですが、介護状態になって、万が一不足しそうになった場合は、兄からも援助を受けられる約束をしてもらえました。
Aさんは今後も10年は働くつもりだそうで、老後資金にも問題はなさそうでしたが、離婚してしまうと夫の遺族年金がもらえなくなります。将来一人暮らしになった場合は老人ホームへの入居もできるようにやはりお金は多くあったほうが安心です。
「正社員として働いていなかったので、年金が少なそうで心配です。できれば夫がいる場合と同じくらい年金を受け取れたら……」
熟年離婚、受け取れるお金は?
離婚で相手から受け取れるお金は次のとおりになりますが、熟年離婚の場合は婚姻期間が長いため内容が複雑になりますので、話し合いも長引いてしまうケースもあります。
1. 慰謝料
浮気やDV・モラハラなどが原因で離婚に至った場合は慰謝料を請求することができます。一般的な金額は50~300万円といわれていますが、相手の不法行為を証明できる証拠が必要とされます。
2. 財産分与
婚姻期間中に夫婦で築き上げてきた財産をわけ合うことを財産分与といいます。熟年離婚になると婚姻期間が長いことから、財産の種類が多くなったり金額も高額になったりしますので、夫婦間で揉めるケースが多いようです。
さらに不動産の場合は、「どちらかが住み続けるのか」「売却するのか」「住宅ローンが残っているのか」等により複雑になってしまいます。
3. 年金分割
婚姻期間中に納めた厚生年金を最大1/2までの割合で分割できる仕組みです。なお、年金分割の対象になるのはあくまで厚生年金部分のみで国民(基礎)年金部分は対象ではありません。熟年離婚になると婚姻期間が長いことから、分割の対象となる年金部分は大きくなります。
4. 退職金
Aさんのように「定年退職までわずか数年」で離婚する場合、将来の退職金も婚姻期間等に応じて分割の対象とすることができます。なお、退職金をもらったあとに離婚した場合は、財産分与による分割となりますので、「住宅ローンの一括返済等で退職金が残っていない」といった場合は受け取ることはできません。