大手の不動産会社だから「安心」とはいえない理由
妥協消費がないということは、どのようなことをもたらすのか。その一つの例が、「ブランドに依存しない」ということではないでしょうか。
車で言えば、妥協して買ってしまえば、多くの消費者が国産主要5社くらいのメーカーの車に落ちつくでしょう。しかし、妥協しない世代だからこそ、自分の本当に乗りたい車が見あたらなくなり、車を買うことの優先順位が下がり、「車はレンタカーやカーシェアリングで十分」ということになってきたのです。
一方、一部の車好きの若者たちは、国産の“ 普及タイプ” では飽き足らず、外車、高級車を求める動きもありますし、外観・内装・タイヤなどをオプションで“ 自分仕様” の車にしていくような動きも強まっています。
不動産も、このような傾向は同じことなのです。妥協する消費の時代には、どうしても大手ハウスメーカーに分がありました。中古住宅を購入するのでも、大手仲介業者から買いたい、となっていたはずです。なぜなら、大手ハウスメーカー、大手仲介業者のほうがなんとなく安心だからです。いわば、なんとなくの「保険・安心料」が大手ブランドにはあったのです。
ところが、イニシアチブを握った消費者は、その「なんとなく安心」という気持ちに納得することはなく、「安心」も自分自身で選ぶようになります。「本当に安心かどうか」「本当に安心なところはどこか」に対する情報を自分自身で取捨選択し、「ここが安心だ」と選択するようになるのです。
きっと、そのときは、「大手ハウスメーカーといいながら、本当はどんな会社がその家を建てているのか」も「大手仲介業者といいながら、本当は営業マンの懷に担ボーが入っているのか」も、今まで以上に明快にわかり、厳しく選別していくことでしょう。
大手のハウスメーカーが建てているといっても、実態は大手ハウスメーカーが全国に張り巡らせた2次下請、3次下請の建築であり、直接、地場の工務店に建築を依頼するのとほとんど変わらないことがわかるのです。大手仲介業者(仲介専業もあれば、大手ハウスメーカーの仲介部門もある)が仲介しているといっても、実態は、できれば両手取引、さらに両手両足取引を狙っている営業マンの手によることがよくわかるようになるのです。
営業マンの「実力」が本当に問われる時代に
このことは、何も「従来の業者や営業マンが消費者をだます悪徳な存在だ」と言っているのではありません。そうではなく、より妥協消費をしない世代への家の販売では、新築も中古も建て売りも、業者自身がブランドにあぐらをかいていてはいけないということなのです。
ブランドにあぐらをかいた商売は、もう終わり! 一人でも多くの営業マンが身をもってこのことを自覚し、不動産売買の仲介業者は真の「消費者エージェント」に向かって突き進むことが重要なのです。それが、不動産流通が「個の時代」に向かう、ということの意味です。
ちなみにアメリカの不動産市場では、会社よりも個人であるエージェントの名前こそがブランドです。どんな会社であるかよりも、どんな個人であるかが問われます。日本でも、大手不動産会社こそ、どんな個人であるかが大切です。
同じ会社でも何千人も営業マンがいたら全員が同じであるはずがありません。役職が上で偉いからといって、それが消費者に利益をもたらす人である証明にはなりません。会社に利益をもたらす人である証明にはなりますから、実力がある人であることだけは間違いはないでしょう。
その実力の評価方法を、今と真逆の、会社ではなく消費者にどれだけ利益をもたらす実力があるかに変えればよいのです。このサービスが実はもう始まっています。それが後述する『ウチコミ!』サイトなのです。