給料が増えれば、モチベーションアップにも繋がるし、家計もラクになるし、老後を見据えての資産形成にも弾みがつく……「給料を増やすこと」は会社員にとって最重要課題だといえます。その方法はさまざまですが「出世レースで勝ち抜く」というのが正攻法。しかし「出世しても……」というケースも珍しくないようです。みていきましょう。
手取り23万円…思わず絶句する少なすぎる給与「日本の部長」の厳しい現実 (写真はイメージです/PIXTA)

「出世したら給与が増える」…とは限らない

転職者と転職希望者についてみてきましたが、転職希望者は7人に1人程度、実際に転職を果たすのは50人に2~3人程度。給与をあげる選択肢の一つであるものの、王道といえば勤務先で出世を目指す方法でしょう。

 

厚生労働省の調査によると、非役職者の会社員(平均年齢41.1歳)の平均給与は月収で28.1万円、年収で451.2万円です。それが係長クラス(平均年齢45.4歳)になると、月収で36.9万円、年収で626万円になります。さらに課長クラス(平均年齢48.8歳)になると、月収で48.6万円、年収で783.7万円。そして部長クラス(平均年齢52.7歳)になると、月収で58.6万円、年収で913.3万円になります。

 

非役職者の50代前半の給与は月収で30.9万円、年収で500.9万円。同期で部長の給与は、月収で1.8倍、年収で2.0倍。頑張って出世して役付きになって高給取りになる……これぞ、会社員のサクセスストーリーです。

 

ただ「出世を目指しても……」というケースも。

 

役職ごとの給与分布をみていくと、係長の月収の中央値は35.2万円、課長で45.7万円、部長で54.1万円。部長クラスの給与分布に注目すると、上位10%で月収は65.67万円。月収100万円超えは5.3%と、部長20人に1人の水準。ここまでくると夢のある話になります。一方で、部長でありながら月収30万円、手取りで23万~24万円程度に満たないケースが4.5%。部長20~25人に1人という水準です。

 

【部長/課長/係長の給与分布】

20万円未満:0.5%/0.5%/1.4%

20万~30万円未満:4.0%/6.5%/22.8%

30万~40万円未満:12.7%/24.92%/45.4%

40万~50万円未満:23.3%/30.3%/21.4%

50万~60万円未満:21.0%/18.9%/6.2%

60万~70万円未満:16.0%/10.3%/1.8%

70万~80万円未満:9.3%/4.3%/0.6%

80万~90万円未満:4.8%/2.1%/0.2%

90万~100万円未満:3.3%/0.9%/0.2%

100万円以上:5.3%/1.4%/0.1%

 

出所:厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』より算出

※数値は左より、部長級/課長級/係長級

 

肩書に合った給与を手にしているのか、それとも肩書だけで実際の給与は平社員と同じなのか、会社によってさまざま。部長といえば高給取りのイメージですが、「えっ!?」と思わず絶句してしまいそうなくらい薄給のケースも珍しくないのです。

 

――部長の給料はいくらですか?

 

そんなこと聞けるわけないので、ちょっと顔色を観察してみましょう。どんよりしていたら、それは「頑張って出世しても低収入のまま」というサインかも。そうなると「いるだけ無駄」と考えるのが賢明な判断。転職に向けて準備を始めてもいいかもしれません。