同一の仕事に従事する労働者は皆、同一水準の賃金が支払われるべきという「同一労働同一賃金」。2021年4月の法改正から2年が経過しましたが、対応済みの企業は多いとはいえない状況です。そんな同一労働同一賃金に一縷の望みを残す人たちがいます。みていきましょう。
手取り20万円…50代・非正規の団塊ジュニアの悲壮感「何のために生まれてきたのか」 (写真はイメージです/PIXTA)

賃金が上がるかも…淡い期待を抱いた、非正規・団塊ジュニアたち

「同一労働同一賃金」に淡い期待を持っていた人もいます。

 

たとえば「団塊ジュニア」と呼ばれる人たち。1971年~1974年、第2次ベビーブームに誕生し、日本で最も人口ボリュームの多い世代です。そして「失われた30年」といわれる日本において、辛酸を舐め続けてきた人たちともいえるかもしれません。

 

時代は、1990年代。大卒求人倍率は、1991年(3月卒)で2.86倍でしたが、1994年〜1997年にかけては1倍台前半〜半ばまで悪化しました。団塊ジュニアはまさに就職氷河期の1期生。日本で初めて「大学を卒業しても働き口が見つからない」という経験をした世代です。

 

「いつかは正社員に……」という想いでとりあえず非正規社員の道を歩んだものの、雇用環境が改善した頃には30代。面接では「どんなキャリアをお持ちですか?」「マネジメント経験はありますか?」などと聞かれる年齢で、正社員への高いハードルを前に挫折。現在、「一度も正社員経験のない50代非正規」として生きているケースも珍しくはありません。

 

厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、50代前半・大卒の非正規男性の平均給与は月収で26.1万円、年収で364.8万円。月々の手取りは、独身であれば20万円程度となり、これが毎月の生活費となります。余裕があるとはとても言い難い水準です。一方、同年代の正社員だと月収は42.1万円、年収は693.1万円。もう埋めようがない格差が生じています。

 

大学を卒業したら、そこはどん底。這い上がることもできず現在に至る、50代・非正規の団塊ジュニア。正社員になりたくても叶わず、そんな不遇をニュースなどで取り上げられることもない。「何のために生まれてきたのか……」と自問してしまうほど、見捨てられた存在です。そんな彼らに対し支援が叫ばれるようになったのは、つい最近のこと。しかし団塊ジュニアはすでに50代に突入しています。生涯どん底か、それとも最後の最後に浮上できるのか……いまが、正念場です。