人生100年時代、定年後も資産を増やしていくことが求められています。効率よく資産運用できる方法の一つが、毎月一定額ずつ「つみたて投資」をすることです。国も、税制優遇の制度である「NISA」によってそれを後押ししています。問題は、投資対象となる「投資信託」の選び方です。ファイナンシャルプランナーの横山光昭氏が著書『定年後でも間に合うつみたて投資』(角川新書)より、自身の例も挙げながら解説します。

インデックスファンド「5タイプ」からどう選ぶか

たとえば、10万円の資金をもとに5タイプの商品から選ぶとしましょう。

 

筆者の個人的な考えを言うと、10万円のうち、まず3割を「全世界」に入れます。残りの7割を「米国」に35パーセント、「先進国」に17.5パーセント、「新興国」に17.5パーセントと振り分けます。その他に「国内」という選択肢がありますが、筆者は「国内」には入れません。

 

【筆者のモデルケース】

・全世界30%+米国35%+先進国17.5%+新興国17.5%=100%

 

筆者は自己主張が強く、自分のアロケーションを組み込んだ方がいいリターンが出ると思っているので、「全世界」には5割までは入れず、3割入れるという選択をしています。しかし、筆者が「国内」を除外するのも、あくまで一つの選択肢にすぎないことをお伝えしておきたいと思います。

 

また、「新興国」に入れるのはどうなのかという議論があるかと思いますが、筆者は20〜30年以上先を見て入れています。現在のロシアによるウクライナ侵攻がどう影響するかというような、今の時流にあまりとらわれる必要はないと思っているところがあります。リスクはもちろん高いと思いますが、それなりのリターンも出るのではないかと考えているからです。

 

これから初めて取り組む人、まずは少額からやってみようという人にとっては、極端に長い将来を見ようとするのもどうかと思いますし、多額のお金を入れるわけにもいかないので、これほど細かい設定をしなくてもいいと思います。ただ、種類を組み合わせていくことは、安心材料が増えるというメリットにつながります。

 

まったくの初心者という場合、たとえば月当たり2万円の余裕があるとしたら、半分の1万円はまず「全世界」に入れるのが無難です。残りの1万円をどうするかですが、次に入れておきたいのは「米国」。人によってはバランスを見て「先進国」も加えます。「新興国」や「国内」についてはここでは省いておきましょう。

 

このように考えると、たとえば、

 

・2本に配分する場合……全世界に1万円+米国に1万円

・3本に配分する場合……全世界に1万円+米国に5,000円+先進国に5,000円

 

こうしてわかりやすく2〜3本に配分するという選択ができます。この他、2万円をバランスのよい「全世界」一本に入れるという考え方もできます。しかし、「全世界」はややリターンが出にくいと言えます。少しでもリターンに期待したいのであれば、「全世界」を軸にしつつ、やはり「米国」や「先進国」にも分散しておくのが得策です。自分なりの配分を組み立ててやってみると、勉強にもなるのでいいでしょう。

 

また、「先進国は調子が悪いけれど、米国はいい」というようなとき、一つだけを売って現金化することもできるので、何種類かに分散して持っていた方が後々有利に働くことも多いと思います。1種類の中から一部を売却することになったとき、好調な状態で手放すのは惜しいことだからです。

 

たとえば、3,000円や5,000円とさらに少額で、「まずは一本買ってみよう」ということであれば、「全世界」一本でいくのもいいでしょう。とりあえず試しにやってみることで、投資のことがいろいろとわかってくるに違いありません。

 

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定年後でも間に合うつみたて投資

定年後でも間に合うつみたて投資

横山 光昭

KADOKAWA

つみたて投資を始めて人生100年時代を軽やかに生き抜こう 「老後資金2000万円不足問題」が叫ばれて久しい。 人生100年時代と言われる昨今では、定年を迎えた人も資産寿命を延ばすための方策を立てる必要がある。 余裕資金…

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