賃上げニュースのあとに話題になったのが「夏のボーナス」。コロナ禍からの回復により伸び率は鈍化したものの、平均で2年連続の増加。そんな民間企業に対して公務員も昨年の減少から一転、増加に転じたと大きく報じられました。しかし喜ばしい状況だけではないようで……みていきましょう。
平均給与44万円…国家公務員、3年ぶり夏のボーナス増も「もう、限界です」 (写真はイメージです/PIXTA)

国家公務員「夏のボーナス平均支給額」63万7,000円

管理職を除く国家公務員の夏のボーナス(期末・勤勉手当)は、平均支給額でおよそ63万7,000円。2022年夏よりおよそ9%(5万2,500円)の増加となりました。プラスとなるのは3年ぶりのことです。

 

そもそも国家公務員のボーナスは民間企業のボーナス支給規準に合わせて、支給月数が一律で決まる「期末手当」と業績に応じて変わる「勤勉手当」が支給され、「平均支給額 =支給月数×平均給与額」の計算式で算出されます。

 

今回のボーナスの算出に際し、各項目は以下のとおり。22年の人事院勧告に基づく法改正により、勤勉手当の支給月数が0.05ヵ月分増えた一方で、平均年齢は昨年の34.2歳から33.8歳に低下したことで、平均給与額は1,800円ほど減りました。

 

支給月数:2.16ヵ月(昨年2.12ヵ月)

平均給与額(俸給+扶養手当+地域手当等):約29万5,100円(29万6,900円)

平均年齢:33.8歳(昨年34.2歳)

 

*平均給与額及び平均年齢は、令和4年国家公務員給与等実態調査(人事院)によるもの

 

また特別職の支給額で一番高いのは最高裁長官の560万円。岸田首相は560万円、各閣僚は409万円でしたが、2022年8月10日の閣僚懇談会において「閣僚の給与の一部返納については、内閣として行財政改革を引き続き着実に推進する観点から、新内閣においても、内閣総理大臣にあっては月額給与及び期末手当の30%、国務大臣にあっては同20%に相当する額を国庫に返納することとする」と申し合わせがされ、一部返納。実質岸田首相は392万円、各閣僚は327万円ほど手にしています。

 

【特別職の支給額】

内閣総理大臣:約560万円(約392万円)

国務大臣:約409万円(約327万円)

事務次官:約316万円

局長クラス:約240万円

最高裁長官:約560万円

衆・参両院議長:約519万円

国会議員:約310万円

 

一方で、日本経済団体連合会による大手企業の2023年夏季賞与(ボーナス)の1次集計結果によると、16業種121社の平均妥結額で95万6,027円。前年比3.91%増で、2年連続のプラスですが、業種によってその増減幅は大きく、「自動車」は前年比10.54%増、「造船」は9.38%増。一方、「非鉄・金属」は7.37%減、「化学」は6.38%減。専門家は、多くの企業で物価高対応で賃上げには積極的であるものの、賞与については慎重姿勢のケースが多いとしています。