住宅ローン返済家族に突き付けらえれる、60歳定年の「収入の壁」
70代になっても住宅ローンを返済する……そんな昨今のマイホーム事情。実際にどのような返済プランになるのでしょうか。たとえば平均年齢で平均価格の新築マンションを買ったとしましょう。物件価格の1割の頭金を支払い、返済方式は元利均等、金利は年1%とします。
その場合、利息分は700万円強で、月々の返済額は14.7万円となります。厚生労働省の調査によると40代前半、サラリーマンの平均給与は月収(所定内給与額)で36.3万円、年収は600.8万円。片働きであれば、年収に占める1年の返済総額の29%になる計算です。無理のない返済負担率は20%前後とされているので、少々負担が大きいといえるでしょう。
下記のように、サラリーマンの給与は年齢を重ねるごとに上がっていきます。このことを根拠に、
――いまは大変だけど、そのうち給与もあがって、ローン負担も軽くなるから
そう、余裕に構えている人も。しかし、そういっていられるのは50代まで。ローン返済残り10年は大きく給与を減らしていくのが既定路線。現在、多くの日本企業で定年年齢は60歳ですが、希望すればそのまま働くこともできます。しかし正社員から嘱託社員になるなど、雇用契約が変わり給与は大きくダウン。平均で3割ほど減少します。
【サラリーマン・40歳以降の平均年収】
40~44歳:6,008,200円
45~49歳:6,360,800円
50~54歳:6,722,600円
55~59歳:6,740,100円
60~64歳:4,904,500円
65~69歳:3,857,500円
70歳~:3,327,900円
出所:厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』より
60歳定年を境に給与減となると、途端ローン負担が家計を圧迫。ローン滞納、さらには老後破産も現実味を帯びてきます。
――まさか、何かの間違えでは
そんな急展開。このようなことを回避するためにも、定年前にライフスタイルを見直し、支出を圧縮しておく必要があります。生活水準を急に変えることはできないので、無理のないよう段階的に引き下げていくのです。「70代になっても働くつもりだから」を前提にした住宅ローンの活用。60歳の給与減をしっかりと考慮した返済プランを組んでいくことが重要です。