東京23区にマンション購入…もはや勝ち組だけの特権
不動産経済研究所によると、2023年6月、首都圏の新築マンションの平均価格は8,068万円、東京都23区に限ると1億1,475万円と億超えとなりました。都心の高価格帯のマンションが平均価格を押し上げていますが、それでも地価や建築費の高騰などにより、マンション価格の上昇は天井が見えていません。
もはや、一般人には東京で家を持つことなど夢のまた夢といったところでしょうか。
厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、大企業勤務の大卒・男性会社員(平均年齢42.7歳)の平均給与は、月収で43.2万円、年収で745.1万円。新築マンションの物件価格に対する年収の割合である「年収倍率」は、7倍程度が目安ですが、物件価格の高い東京では10倍程度というのは珍しくないといいます。それでも、一般の会社員世帯の片働きでは、東京都23区の平均的なマンションは買えそうもありません。
同じように、大企業勤務の大卒・女性会社員(平均年齢35.6歳)の平均給与は月収で30.8万円、年収で512.3万円。大企業勤務の平均的な夫婦であれば、ふたりの年収を合わせて1,200万円程度となり、「東京であれば年収倍率10倍も珍しくはない」を基準とするなら、夫婦合わせた年収であれば、東京都23区の新築マンションも検討できるということになります。
このように、共働きで世帯年収がそこそこある夫婦を「パワーカップル」と呼んでいますが、いま東京で新築マンションを買えるのは、そんな夫婦だけ。年収の基準は、1,200万円とか、1,400万円とか諸説ありますが、とりあえず、パワーカップルでないと、東京ではマンションさえ買えない状況です。
年収倍率のほかに考えたいのが、年収に対する年間返済額の割合である返済負担率。フラット35では、年収400万円以上であれば上限が35%、無理のない返済負担率であれば、20~25%程度といわれています。
仮に東京都23区の平均的な価格の新築マンションを買ったとして、どのような返済プランになるか、考えてみましょう。購入にあたり、物件価格の1割と平均的な頭金を用意。返済方式は元利均等、金利は1%、返済期間は30年とします。
利息額は1,630万6,363円、月々の返済額は33万2,157円。二人合わせた年収に対する年間返済額の割合である返済負担率は30%を超え。上限は超えないものの、かなりのローン負担で、毎月、毎月、「家計が苦しい……」という日々を過ごすことになります。
返済負担率を20%程度に抑えるなら、月々の返済額は20万円程度にしなければならず、逆算すると6,200万円程度の借入であればOKということになります。同じように物件価格の1割程度の頭金を用意するならば、7,000万円程度の新築マンションが、大企業勤務・大卒夫婦の身の丈に合った物件だといえるでしょう。
大手ポータルサイトでこのような物件を探してみると、23区でも隣県と接するようなロケーションであれば、新築でも6,000万~7,000万円のマンションもちらほら。いまどき、夫婦ともに大卒で大企業勤務という、パワーカップルでもないと東京で新築を買うこともできない……これが現実です。