長引く痛みに手術を決意…その結果は
Tさんご自身は、すでに椎間板ヘルニアの治療法などについてよく勉強されており、当院を受診されたときには、ご自身のなかで「手術をしよう」という決意が固まっておられました。
そこで、当院初診のタイミングで早速手術の予約をされ、8日後に入院。入院日翌日とその3日後の2回に分けて手術をすることになりました。
椎間板ヘルニアの手術にはさまざまな術式がありますが、筆者がTさんに採用したのは「腰椎前方後方固定術」というものです。
「腰椎前方後方固定術」とは?
椎骨と椎骨のあいだにずれや不安定性が生じた場合は、椎骨間を固定する必要があります。そこで、お腹の横から侵入して大腰筋を裂き、椎間板のあいだに少し高めの補強材(ケージ)を入れて、椎体間を広げることにより間接的に脊柱管の狭窄を広げることができるのです。その後、医療用のインプラント(スクリュウやロッド)で固定します。
非常に低侵襲であり、神経を直接触らないため、脊柱管内の神経に対して安全性が高いというのが、「腰椎前方後方固定術」の最大のメリットです。
さらに、従来の術式に比べて出血量が非常に少ないため、高齢者でも安心して受けることができます。
手術をするなら「しびれや麻痺・筋力の衰えが進む前」がベスト
いよいよ手術に臨んだTさん。「手術が怖い」という気持ちよりも「早く良くなりたい」という思いが勝り、初診からわずか9日間で手術台にのりました。
こうして、1度目の手術が無事に終了。筆者は、もし手術後にまだ下肢のしびれが残っていたら、神経の圧迫を解除する手術を追加しようと考えていましたが、Tさんの場合、1度目の手術で痛みやしびれが大きく改善されたためその予定を変更し、2度目は背中側から金属で固定するという手術のみを行いました。
Tさんに限らず、しびれや麻痺の症状は神経によるものなので、手術で「完全になくす」というのは難しいです。Tさんも若干の症状は残っているとのことですが、2回の手術により、長年苦しめられてきた腰痛と足の痛みからは見事に解放され、晴ればれとした表情で退院していかれました。
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