(※写真はイメージです/PIXTA)

腰痛や下肢のしびれなどを引き起こし、QOLを著しく低下させる椎間板ヘルニア。保存的治療を行っても改善せず、根治するには手術以外方法はありませんが、「怖い」などの理由で手術を躊躇している人が多いと、横浜町田関節脊椎病院の越宗幸一郎院長はいいます。今回は、椎間板ヘルニア手術を実際に行った70代男性の事例をみていきましょう。

一刻も早く腰痛を消し去りたいなら「手術1択」

症状のレベルにもよりますが、長期にわたり重度のしびれや痛みをともなっているような椎間板ヘルニアを根治するのであれば、手術しかありません。

 

しかし実際のところ、「手術は怖い」「なんとか薬や注射で痛みをなくせないか」というご相談があとを絶ちません。もちろん「手術が怖い」という感覚は理解できますが、放置すればするほど痛みや神経症状は悪化してしまいます。

 

しびれや麻痺を抱えた状態では、歩行や運動なども満足にできませんから、下肢の筋肉もどんどん衰えてしまいます。下肢の筋肉量は術後の回復状況と比例関係にあり、筋肉量が少なければ少ないほど「予後不良」となることが、さまざまな研究から明らかになっています。

 

Tさんも、「先生に『少しでもしびれや麻痺が軽症のうちに手術をして、根治を目指すのがいい』と勧められ、思い切って手術を決意しました。いまは完全に痛みも消え、しびれもわずかに残る程度です。あのとき決断してよかったと思います」とお話ししてくださいました。

 

また、治療費について心配される患者さんも多いのですが、多くのケースで保険が適用になりますし、高額療養費制度も活用できます

※ ただし、レーザーによる摘出手術など一部の治療法は保険適用外です。詳細はかかりつけの医療機関にご確認ください。

 

◆まとめ

Tさんは術後約2週間で退院したあと、以前からお世話になっているかかりつけ医に戻られ、リハビリに専念されました。

 

さらに、手術後も定期的に当院へ通われ検査を受けていたのですが、回数を重ねるうちにだんだん歩行も楽になり、QOLが確実に向上している様子がみてとれました。今回の手術によって曲がっていた背骨がまっすぐになり、日常生活を謳歌しているようです。

 

「もともと古いオートバイや古い車が好きだったので、それに乗れるようになったのが本当に嬉しい」と満足気に話してくださいました。

 

椎間板ヘルニアの手術は決して難易度が高いものではありません。内視鏡下で行うこともでき、低侵襲の術式が確立されています。

 

「手術が怖い」といってQOLの低い生活に甘んじるか、あるいは一度勇気を振りしぼって手術を受け、はつらつとした生活を取り戻すか……。選択に迷ったら、「その後の長い人生をどう送りたいか?」という基準で決断されるといいでしょう。

 

 

越宗 幸一郎

横浜町田関節脊椎病院

 

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