(※写真はイメージです/PIXTA)

不動産情報サイト「SUUMO(スーモ)」の住みたい街ランキングで2018年から6年(※本記事内、書籍執筆時点では5年)連続1位を獲得している「横浜」。交通の便、景観、居住コストと魅力あふれる街、かつてはかつては住みたい街の上位にランキングされるような街ではなかったと、東急株式会社常務執行役員の東浦亮典氏はいいます。圧倒的人気を誇る横浜の「意外な歴史」をみていきましょう。※本連載は、東浦亮典氏の著書『東急百年 私鉄ビジネスモデルのゲームチェンジ』(ワニブックス)より一部を抜粋・再編集したものです。

“思い思いの開発”を続け街が複雑化…再開発で課題克服へ

駅周辺はもともと埋め立てた場所なので土地は平坦で、渋谷ほどの複雑さはありません。しかし、長年の街の発展とともにやはりさまざまな都市課題は抱えていました。

 

たとえば、鉄道各社や開発事業者がそれぞれの意図で思い思いの開発を続けてきたので、街の構造が複雑化して、わかりにくい上に、高度利用もそこまで進んでおらず、全体的に都市更新が遅れていました。軟弱地盤や浸水リスクなども抱えており、防災上の対応も喫緊の課題となっています。

 

横浜駅周辺地区は、建物の老朽化や駅周辺の複雑な構造を改善すべく、2009年に横浜市主導で民間企業とも協働する形で「エキサイトよこはま22(横浜駅周辺大改造計画)」を発表、横浜駅周辺の国際化、都市間競争力強化、防災性向上、環境性能向上などのテーマに取り組んできました。

 

当初、東急グループもJR東日本とともに高層駅ビル共同開発をする計画を発表したのですが、東日本大震災の影響などもあり、東急は2013年に所有地をJR東日本に売却して、駅ビル開発事業からは撤退しました。そのためJR東日本が単独で開発を進め、コロナ禍の影響を受けながらも2020年6月に「JR横浜タワー」として開業しました。

 

駅ビル開発から撤退した東急は、その代わりに「横浜駅きた西口鶴屋町市街地再開発事業」を相鉄不動産と共同で開発することとなりました。2024年に竣工予定の地上43階のビルは、住宅、店舗、ホテル、サービスアパートメントからなり、特に42階には「グローバルスカイコモンズ」と呼ばれる交流・にぎわい機能も付加されています。

 

これらの一連の大規模ターミナル駅周辺再生モデル事業によって、エキナカだけでなく、街全体にもコロナ以前の賑わいが戻ってくることが期待されます。

 

 

東浦 亮典

東急株式会社

常務執行役員

 

※本連載は、東浦亮典氏の著書『東急百年 私鉄ビジネスモデルのゲームチェンジ』(ワニブックス)より一部を抜粋・再編集したものです。

東急百年 私鉄ビジネスモデルのゲームチェンジ

東急百年 私鉄ビジネスモデルのゲームチェンジ

東浦 亮典

ワニブックス

東急電鉄に所属していた2018年に、前作『私鉄3.0』で「電車に乗らなくても儲かる私鉄の未来」を提言した東浦亮典氏。あれから4年、電鉄業界はコロナというこれまでにないパンデミックに見舞われた。テレワークの普及で働き方が…

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